イタリア・ポジターノ 天国の夏を過ごす <トラキチ旅のエッセイ>第12話

ナポリの南、あの「ポンペイ」を灼熱の灰にうずめた有名なヴェスヴィオ火山の裾を抜けると、ソレント半島が横たわっている。 その半島の南岸、断崖を削って進む狭い幹線道路は、ルパン三世がフィアットで疾走しそうな景色。 高所恐怖症の人は、車の窓を覗く…

イタリア・アマルフィ 栄光の記憶はまどろみの中に <トラキチ旅のエッセイ>第11話

日本の商船は、日の丸=日章旗をかかげて海をゆく。商船旗――Civil ensign が、日本の場合、国旗と同じであるからだ。 しかし、そうではない国もある。たとえばイタリア。国旗は緑・白・赤、おなじみの三色旗だが、船は少し違う旗を掲げる。 見ると、緑と赤に…

一千石を投げ捨てても ~阿波徳島・阿波踊りにまつわる昔話 <トラキチ旅のエッセイ>第10話

「もう我慢ができぬ」 男はそうつぶやいて立ち上がると、やにわにその顔を藍染の頬被りで隠し、家人や女中らに気付かれぬよう、ひそかに屋敷を抜け出た。 夏。うだるような暑さの夜。 伸びきった庭草が、周囲を蒸し殺さんばかりに青臭いニオイを辺りに放って…

「犬夜叉」を全部読んだぞ。いまごろ(笑)。3年もかけてにゃ(ネタバレ注意にゃぞ)

(上の絵はamazonにゃんから引用にゃ) この前、高橋留美子にゃんの「犬夜叉」を読破したにゃ。にゃはは。なんと、2019年から3年もかけてにゃ。 どういうことかというと、スマートフォンアプリの「サンデーうぇぶり」ってあるにゃんか? あれで、こつこつ毎…

阿波池田、山間に沈む町。次にウダツを上げる日はいつか <トラキチ旅のエッセイ>第9話

阿波池田。夏。 揺れる陽炎の底に沈み込んだような静かな町を歩いた。 古い家並みの中、ふと1枚の表札が目に留まった。 「蔦 文也」とそこにあった。蔦監督である。 「山あいの町の子どもたちに海を見せてやりたい」 そう言って、県立池田高校野球部を甲子…

一碧湖――伊豆の瞳に恋してる <トラキチ旅のエッセイ>第8話

伊豆半島東部の伊東市に「伊豆の瞳」と呼ばれている小さな湖がある。 一碧湖という。 やや日本の地名らしくない。 そこで古今の漢文を探れば、一碧萬頃――という言葉がある。水面が青々として遠くまで広がるさまをいう。 先憂後楽(後楽園の名前の元となった…

海の上を飛んで大分へ。ホーバークラフトに乗った日のこと <トラキチ旅のエッセイ>第7話

「お客さんを乗せて営業運転しているのは、全国でわが社だけですね」――係員はそう言って胸を張った(2007年頃)。 全国、どころではない。世界を見渡しても見つけるのはなかなか難しい。 場所は、九州、大分。豊後水道に面して三方を海に囲まれる小さな地方…

新生銀行の「新生ステップアッププログラム」リニューアルで助かってるにゃ

今年、5月末くらいにゃったかな。不意に気付いたんよ。新生銀行のサイトにログインして、自分の口座のページを開いて、振込みをしようとして… 「あれ? 無料で振込みできる回数が増えてる」って。 調べてみると、2022年5月1日から新生ステップアッププログ…

それは万博から始まった? 私見・大阪空間色彩論 <トラキチ旅のエッセイ>第6話

大阪は色彩豊かである。キタもミナミも変わらない。 狭い街路にさまざまな色彩が幕の内弁当のように押し込まれ、密度感にあふれる景色をつくり出している。 色は派手な原色が愛される。赤、青、黄色――。 あからさまな原色をまとった看板やディスプレイが、子…

わが大阪へのオマージュ <トラキチ旅のエッセイ>第5話

私は歩き方がお笑い芸人の坂田利夫師匠に似ているといわれる。 なので、大阪の街では注意しなければならない。人違いをされて、偉大な師匠の名を汚してはならない。 大阪。数年前から、この街と縁が深い。 通勤するかのように、毎週訪れた頃もある。 さらに…

白水阿弥陀堂・みちのくの姫の美しき御堂 <トラキチ旅のエッセイ>第4話

桜がほころび始めた頃。やわらかな日差しの中、いわきの白水阿弥陀堂を訪れた。 やや南に「勿来の関」があったこの辺り。みちのくの南端。古代から中世にかけては、奥州と関東、ふたつの広大な世界が接する境界だった。 そんな土地に暮らす豪族のもとへ、は…

ソントン・ファミリーカップで一番好きなのはリンゴジャムにゃ

ソントンのファミリーカップってあるにゃろ。ジャムのシリーズにゃ。すごく安くて、スーパーなんかでよく100円以下で売ってるよにゃ。 そのうちどれが好きにゃ? いまは8種類あるらしいんにゃけど、トラキチがとにかく一番好きなのは「リンゴジャム」に…

新潟・天空の花園 その優しさの秘密は? <トラキチ旅のエッセイ>第3話

「新潟に面白い建物があるよ」 「ああ、旧税関(明治2)でしょう」 「いや、ちがう」 「県政記念館(明治16)ですか」 「ちがう。古い建物ばかり思い出すんだな。もっと新しい建物だよ。その県政記念館のすぐ近くにある」 ――と、知人に教えられたのが、新…

水の新潟、神々の新潟 <トラキチ旅のエッセイ>第2話

昼間の気温は30度。真夏の新潟市内。 ところが、陽が沈むとともに、街にはすずしい風がそよぎだした。信濃川のせいだろうか。 人口は約80万人。日本海岸随一の都会。この街は、その中心に巨大な天然のクーラーを備えている。 金沢のように典雅な町並みが…

祇園とはなにか。答えはインドにあった <トラキチ旅のエッセイ>第1話

「祇園の街で認められる」 それは昔も今も、成功を表す尺度のひとつである。 祇園で「旦那」と認められ、舞妓、芸妓という生きた芸術作品のパトロンとなる。そのためには、経済力だけではない、人間に品が要る。 知性も欠かせない。 さらには、品や知性だけ…