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僕はやはり「残念」だったと思う、スラムダンク最終盤で描かれた感動の展開

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20代の終わりから30代初めの頃にかけて、

もっとも夢中になって読んだ漫画が「SLAM DUNK(スラムダンク)」でした。

 

単行本であとからまとめて読むのではなく、

ちゃんと雑誌連載を追いかけた、僕にとってはこれが最後の漫画です。

 

ただし、同じ世代でこれを読んでいる人には、当時、結局出会うことはなかったですね。

 

10歳くらい下の人とたまたま会う機会があると、やっとそこで話が弾んだりしたものです。

 

連載が終わっても、まだ興奮冷めやらず、作者の井上雄彦さんあて、「次は時代劇を描いてくれ」なんてメールも送っちゃいました。

 

当時ネットで公開されていた、井上先生の「BUZZER BEATER」という作品が載っていたサイトにあったメールアドレスです。

 

もちろん、ご本人には届いていないでしょう。

 

ちなみに、僕がとても好きだった「SLAM DUNK」の登場人物を2人挙げましょう。

 

藤真 健司 君

彩子 さん

 

です。

 

それこそ、さっきいったような10歳くらい年下の人に話すと、「変な好みですね」なんてすかさず言われましたね。

 

特に藤真君は、女性ファン(とりわけBLを愛する皆さん?)にこそ専ら好まれるタイプ・・・

たとえば、

「キャンディ・キャンディ」でいえば、アンソニー・ブラウン、

「エースをねらえ!」でいえば、藤堂貴之先輩といったところの雰囲気の美青年ですので・・・。

 

ただ、この藤真君、

この作品に登場するほかのどのバスケットボール・プレイヤーとも違う点として、彼はプレイング・マネジャーなんです。

 

年若くして、強豪チームのマネジメントを任されている「上司」なんですね。

 

そして読んでいる僕の方は、当時、もう社会人がかなり長いですから、藤真君のいわゆる「上司っぷり」がなかなかうまく描けていることがよくわかるんです。

 

ほかの強豪校のライバルたちが、それぞれ、主人公チームのスタープレイヤーである流川君や赤木君を好敵手と見てプレイする中、わが藤真君だけは、安西先生をも相手に戦っているわけなんですね。

(安西先生・・・主人公チームの監督です)

 

もちろん、それはファンならではの深読みのし過ぎということなんでしょうが、

とりあえずそんな目で、僕は藤真君を見ていました。

 

同じように、彩子さんも、マネジャーでしょ?

 

なので、彼女も藤真君とそっくりなんですよ。

 

自身の内側に秘めた揺れるメンタルはおくびにも出さず、キャプテン・赤木君をはじめ、子ども揃いのチームの要所、要所を上手に押さえながらまとめていきます。

 

その上、高校生離れしたあのビューティーなスタイルですからね。

 

惚れました。

 

スラムダンクの最終盤では、主人公のいるチーム・湘北高校バスケットボール部と、秋田県代表の日本一のチーム・山王工業高校バスケットボール部との決戦が描かれます。

 

この試合の中で、主人公・桜木花道は、背中に大怪我を負ってしまうんですね。

 

しかし、彼は、監督からの交代の指示に抵抗します。

 

感動のセリフが飛び出します。

 

「オヤジ(監督)の栄光時代はいつだよ・・・全日本の時か?
オレは・・・オレは今なんだよ!」

 

その後連載が終わり、20年以上も経って、

この展開は、いまは残念ながら、時代の古さを隠し得ないものになりました。

 

将来ある若きプレイヤーが、競技者としての人生に致命傷をおよぼしかねないほどの怪我を負いながら、目の前の一瞬だけにそのすべてを賭けてしまいます。

 

それを「SLAM DUNK」は、まるで「巨人の星」のクライマックスのように、あるいは、現実の夏の甲子園で酷使されるエースピッチャーのように、わが国の伝統にきわめて忠実に沿ったかたちで、美しく描いてしまいましたね。

 

これにより、結果論として、わが愛する「SLAM DUNK」は、残念ながら、古き前時代の作品になっています。

 

その名前――「桜」木「花」道のとおりに、主人公に華々しい特攻を強いてしまったこと。

 

致命傷といえば、これこそがこの作品にとっての致命傷だったように僕は感じています。

 

おそまつ。

 

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(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)