紅葉の季節が近づいてきました。
そんな風に言うと、
「そうかな。あんた関東でしょ? だったら、まだまだその季節は遠いよ」
と、返されそうですが、
そりゃ、ちがいますよ。
そう指摘するあなた、ひょっとして紅葉といえば楓(カエデ)ばかりが念頭にあるでしょ?
あるいは、東京あたりの人だったら、「都の木」にもなっているイチョウ?
(木だけじゃなく都のマークもイチョウだとよくいわれますが、こちらは東京の頭文字「T」がモチーフです)
もちろん、秋に鮮やかに色づく葉といえば、赤はカエデに如くはなく、黄色はイチョウに抗うはないとは思いますが、
そういう秋の主役ばかりに目をやらずに、近所の公園にでも足を運んでみてくださいな。
桜の葉が、そろそろ色づいてきているはずです。
(上の写真はつい先日、9月16日に近所で撮影したものです)
そうです。サクラですよ!
春にはピンクの花を咲かせていたサクラです。
僕はこのサクラの紅葉が大好きです。
理由は?
それは、色の佇まいが、どこかモダンでロマンティックだからです。
なんとなく、油絵風なんです。
それも、どちらかというと近代的な技法で描いた方の油絵です。
色づいた桜の葉が落ち葉になって散らばった風景など、まさにそうですね。
ちょっと知ったかぶりして、絵画用語を使ってしまうと、
キイロ、
ウスミドリ、
オレンジ、
アカ、
チャ、
コゲチャ・・・
あらゆる秋の色すべてが、そこに「インパスト」されている感じです。
一方、カエデやイチョウの美しさというのは、端的には切り絵風ですね。
平面的で、版画にしやすい美でもあります。
その点、サクラの紅葉は、どうもそういう風には表現しにくいところがあります。
個々にはあまり美しく感じられないような色も含めての、合算の美になっているからなんでしょうね。
その点、美味しそうな料理の色と、どこか似ているところがあるんじゃないでしょうか。
もう数年前のこと。
以前暮らしていた家の近くに立っていた桜が夏の終わり頃、突然バッサリと伐られ、がっかりしたことがあります。
花もとびきり見事でしたが、紅葉もきれいでした。
なぜいきなり・・・?
聞いたところによると、毎年、落ち葉の掃除があまりにもしんどいということで、その年、秋が来る前に伐ることにしたのだとか。地主さんが。
ご近所の皆さん、これには落胆です。
花を楽しみにしている人はもちろん多く、地域のランドマークにもなっていたようなサクラでしたので。
「なんだ。困っているんだって知らされていたら、掃除くらい買って出たのに・・・」
そのときそんな風に思ったのは、きっと、僕だけではなかったでしょう。
多分、皆そうでしたでしょうね。
「ここの桜、無くなっちゃったね。きれいでしたよね・・・」
地主さんの軽挙(?)を惜しむ、ほとんど怨嗟といっていい声が、その後しばらくの間続いていましたね。
個人の想いや声が、遠くの人にブログやSNSでは伝わっても、お隣や、すぐ身近なところに住んでいる人にはなかなか伝わらない・・・
そんな、ちょっともどかしいいまの世の中ではあります。
おそまつ。
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