トラキチは毎週、銭湯へ通ってるんよ。いわゆるスーパー銭湯ではない、昔ながらの銭湯にゃ。スーパー銭湯に行くこともたまにはあるけどにゃ。
「公衆浴場入浴料金統制額」なんていう、古めかしい制度の布かれている方にゃ。東京の場合は大人520円、埼玉だと大人500円―――と、いうやつだにゃ。
もっとも、トラキチの行きつけの場合、昔と違って、洒落た半露天風呂なんかもくっついてる。屋根がルーバーになってて、湯船は岩風呂っぽく仕上げられてるにゃ。
とはいえ、本物の(?)銭湯なので、ド派手な彫り物で全身を彩った人もたくさん来るにゃ。スーパー銭湯だと、彼らはほぼ100%入湯お断りにゃからな。
なもんで、未経験者は面食らうこともあると思うけど、まあ、それも昔ながらの風景ということだにゃ。
さて、そんな古いタイプの「銭湯」に行ったことがない人、行きたいな〜と思ってる人のために、銭湯でのマナーをトラキチが知るかぎり挙げていくぞ。
1.おそらく「全国共通」のマナー
湯船に入る前に体を流すこと
これ、銭湯の基本中の基本マナーにゃ。「かけ湯」ともいうよにゃ。蛇口のお湯を水と混ぜながらいい感じの温度にして風呂桶に取り、両肩それぞれからかぶる。ほんでもって、脇の下、股の前・後(お尻)、足と、手を使ってしっかり流す。それから湯船に入るにゃ。
ちなみに、お湯をかける順番は肩でなく足からでもOKにゃ。その方が体が「びっくり」しないからにゃ。トラキチはいつもそうしてる。
ともあれ、以上をやらないまま「湯船にドボン」は、銭湯ではホント~に嫌われるぞ。自宅の風呂にしか入ったことのない若者なんかがよくやりがちにゃから、ぜひとも気をつけてにゃ。
なお、以上をシャワーでやると、効果は同じはずなんにゃけど、なぜか粋には見えない。ダサいからやめとけにゃ。
タオル(手ぬぐい)を湯船のお湯に入れないこと
これも昔からの基本マナーにゃ。体を洗う手ぬぐいタオルは、湯船のお湯に入れてはならない。体をこする汚いモノだという認識だにゃ。
でも、よく考えてみたら変なんよ。「体とお湯とタオル、どれが一番汚いの?」って、疑問はあるんよにゃ。このうちキレイなのはタオルにゃろ? わざと汚してない限りは。
なので、これ、論理ではないんよ。文化だにゃ。にゃけど、それだけに初心者はうっかりマナー違反をやらかしやすいんよ。要注意にゃ。
ちなみに、湯船に入れてはいけないタオルを湯船に浸かってる間はどこに置いとくか? パターンは2つかにゃ。
(1)石鹼やシャンプーなんかと一緒に、自前の風呂桶やプラスチックかごに入れておく
(2)水で濡らしてから、絞って、湯船まで持って行き、お湯の中にいる間は自分の頭にのせておく。それでたまに額の汗など拭く
トラキチは、気持ちいいので、もっぱら(2)だにゃ。
長い髪はまとめること
女の人も、男の人も、髪が長い人は銭湯では要注意にゃ。
湯船のお湯に髪の毛が触ってしまうのはNGなんよ。そうならないように、しっかり束ねてからお湯に浸かるのがマナーにゃ。さっきのタオル同様、髪の毛も、湯船の中では「汚いもの」扱いということだにゃ。
もっとも、これにも疑問はあるんにゃけどな。なんなら「陰毛はどうなの? ワキ毛は?」ってことになるにゃろ?
昔は毛ジラミなんかが気にされてたって言っても、陰毛にだってその心配はあるからにゃ。理屈が合わない。
ともあれ、それでも「髪の毛を湯船のお湯に触れさせるな」は、銭湯での昔からのルールにゃ。見た感じがそもそも良くないしにゃ。
湯尻から入る・湯口近くに陣取らない
湯船にお湯が注がれているところが湯口にゃ。そこから一番遠いところが湯尻にゃ。
でもって、湯船に入るときは、湯口のそばから入らないように気をつけるにゃ。湯船に入ったあと、湯口のそばに陣取るのもマナー違反にゃぞ。
なぜなら、その行為は、まるで自分の体の汚れを上流から下流に向けて流そうとしているかのように見えるからだにゃ。
ちなみに、スーパー銭湯では、こういうの気にしない人多いにゃろ? 岩風呂の滝の下(つまり湯口だにゃ)にどっかり居座る人なんかよくいるにゃんか。
にゃけど、その感覚のまま銭湯に行くと、間違いなく周りには嫌われるにゃ。
湯船で体をこすらない
体のどこであるかを限らず、湯船の中で爪で掻いたり、指でこすったりするのはNGにゃ。それっぽいしぐさを見せるのもダメ。なんでか?
「この人、お湯の中で垢落としてるんじゃない?」と、見られるからだにゃ。
毛染め、洗濯、歯磨きはしない
毛染めや洗濯は、そもそも風呂でやることではないよにゃ。ニオイの点からも、当然御法度にゃ。
一方、銭湯の洗い場で、顔を洗ったついでに歯磨きする人って、昔は結構いたんよ。かといって、当時はマナー違反じゃなかったわけでなく、嫌がる人ももちろんいたにゃ。
そのうえで、いまはもっとダメ。みんなが体を洗ってるそばで、ガラガラうがいして、口から吐き出す行為がいかにも汚らしいからだにゃ。
散らばった泡は「お湯」で流す
体を洗ってる間、自分の周囲に散らばる石鹸の泡は、時々頃合いを見て流すのがマナーにゃ。でもって、その場から移動するときも残しておかず、きれいにお湯で流すにゃ。
床をいつまでも泡だらけにしていたり、残したまま立ち去るのは、だらしない行為と見られるにゃ。そばを通る人が滑りやすくて危険という問題もあるにゃ(どっちかというとこっちが重要かもにゃ)。
さらに、泡を流すときは冷水を使わないこと。冷たい水だと、周りの人の足に届いたとき、びっくりさせてしまうからだにゃ。
泡だけでなく、垢や髪の毛を流すときなんかもそれは一緒にゃぞ。
体をしっかり拭いてから脱衣所に出る
これも基本マナーにゃ。しずくがポタポタ垂れている体のままで脱衣所に出て、床を濡らすのは、他人の乾いた足の裏や靴下を濡らす迷惑行為として、すごく嫌われるにゃ。
そうならないためには、まずは洗い場で、しぼった手ぬぐいタオルで頭や体を拭き、しずくが垂れないようにするにゃ。
そのあと、脱衣所側に出たところで足の裏をしっかり拭いて、フロアを濡らさないようにするにゃ。ロッカーにバスタオルを取りに行くのはそのあとだにゃ。
ちなみに、バスタオルや脱いだ服を入れておくのは、大昔はロッカーでなくカゴだったけど(あるいは渋~い木造ロッカー)、いまはまったく見なくなったにゃ。古い温泉場に行くと、名残がたまにあるかにゃ。
イスや風呂桶は所定の場所に戻すこと
洗い場で使ったイスや風呂桶をその場に放置したまま去ってしまう人は、周りの目が厳しい銭湯でも、なぜか結構いるよにゃ。「次に誰かが使うだろう」ってことなんだろうにゃ。
にゃけど、粋に銭湯を利用したければ、それをマネしてはいけない。必ず一度洗い流してから、所定の場所に戻すにゃ。
ちなみに、銭湯によっては、蛇口の上なんかに、洗って裏返した風呂桶をひょいと上手に乗っけて立ち去る年配の常連がいたりする。
格好イイんで、マネしてもいいけど、落っことすと音が周りに響いて恥ずかしい思いをするぞ。慎重にやれにゃ。
2.銭湯によってはマナー違反にならない行為
洗い場に物を置く「キープ」行為
石鹸やシャンプーの入った自前の風呂桶や、プラスチックカゴなど、私物を洗い場に置いて場所をキープしておく行為は、一応マナー違反とされてるにゃ。
ただし、トラキチの行きつけの銭湯では、よほど混み合わないかぎり誰もがそうするんよ。
ほかに置いておく場所がないということもあるんにゃけど、初めて行く銭湯では、その点、どういうルールなのか、周りの様子をまずは窺ってみるにゃ。置き場所が別に用意されてることもあるぞ。
タオル(手ぬぐい)で「前」を隠す行為
トラキチの知る限り、これって、許容される地域と、隠すのがみっともないとされる(隠す人などいない)地域があるよにゃ。
後者だと、隠しながら歩いているのがなんだか情けなく見えてしまうにゃ。
でもって、そのタオルを「金隠し」したまま湯船の中に入れてしまうと、たちまちマナー違反にゃ。気をつけるんにゃぞ。
3.あまり取り沙汰されないけれど、多分嫌われている行為
ネックレスをつけたままの入浴
髪の毛が湯に浸かるのと一緒で、不潔と感じる人が、特に年配者に多いはずだにゃ。女性よりも、おそらく男性の方がやりがちにゃ。
4.昔はあったものの、今は嫌われるであろう行為
手鼻をかむ
顔を洗ったあとや、あるいは洗いながら、フガーッと手鼻をかむ大人が過去にはよくいたにゃ。でも、いまは滅多に見ないにゃ。
なので、その音といい、間違いなく嫌われると思うぞ。むしろベテランがこれには注意にゃ。
談笑したり、唄ったり、泣いたり
風呂屋で近所の人と会い、洗い場でワイワイ野球談議。
女風呂、男風呂にいるカミさんや旦那に向けて、「お~い、こっちは上がるぞ~」なんて呼び合う声。
湯船でいっとき浪花節をうなる人。三波春夫あたりを唄う人。
さらには、頭を洗われるのが嫌でギャンギャン泣き叫ぶ子ども。
昔の銭湯ではそんな風に人の声が絶え間なく飛び交っていたもんにゃけど、いまはうるさがられるよにゃ。
昭和の頃と比べて、いまの銭湯はほんとに人の声が響かなくて静かにゃ。もちろん、それはそれでいい環境にゃ。
脱衣所での喫煙
地域によると思うんにゃけど、脱衣所で喫煙できる銭湯はまだ残ってるにゃ。風呂上がりの一服って、昔は普通のことだったんよ。
それでも、タバコを吸うのはもうやめておいた方がいいだろうにゃ。
銭湯側は許しても、「洗ったばかりの髪や体に臭いをつけられるのは我慢ならない」ということで、腹を立ててる人が、いまはきっと周りにいるだろうからにゃ。
以上、どうにゃ?
ちなみに、これはトラキチ個人の感覚にゃけど、最近の銭湯で時々見かけるあまり好きではない行為として、
「入浴道具一式をレジ袋に入れて、洗い場に持ち込む」
と、いうのがあるんよ。なぜかすごく格好悪くて、汚くも感じるにゃ。
なんで、悪いけど、あれは イヤ。
ご参考ににゃ。