こんにちは!
前回の記事、
「【ネタバレ注意】眉村卓先生の傑作ジュブナイル「ねじれた町」を僕ならこう変える」・・・
原作の文庫本だと200ページくらいに及んでいるストーリーの「改作版」を一本まるまるダイジェストで記したため、ちょっと長くなってしまいましたが、
それでも全部読んでくれた人、もしかしているんでしょうか?
いるとしたら・・・そんなステキな人のため、若干補足をしておきますね。
なお、これから本物の「ねじれた町」を読んでみたいという方がいましたら、以下を読むといわゆる「ネタバレ」になりますので、ご注意・ご留意を!
(前回の記事はこちらです ↓ )
時間がループしているという設定
前回記事のとおり、僕の改作版は、時間のループを物語のカギにしてあります。
物語の舞台であるQ市は、近世初頭に起きた反乱事件以降の暗い歴史をもっているのですが、その始まりは当の事件にあったのではなく、実は、現代にあったという設定です。この設定は、眉村卓先生の「本作」にはありません。
ただし「ループ」ですので、本当はその始まりは明確には特定できません。とはいえ、不幸な歴史の繰り返しを主人公がその行動によって完全に解消させたいという場合、そのためのもっとも適当な時間と場所は、実は現在にあったのだというかたちです。
このアイデアは、すぐに気づかれた方も多いと思いますが、ある漫画をモチーフにしています。永井豪さんの「手天童子」という作品です。僕の改作版に出てくる主人公とヒロインが放り込まれる時間のはざまのような空間についても、この「手天童子」に、同じような場所が描かれています。
僕の改作版は、眉村先生の本作を土台に、永井豪先生の手天童子における謎解きとカラクリが組み合わされたかたちになっています。
Q藩の歴史・国替えに関してのこと
歴史好きの人ならばよくご存知の部分です。黒田官兵衛で知られる黒田家の中津入り、山内一豊の土佐入りと、実際の悲劇がいくつも起きていますね。天草四郎で有名な天草・島原の乱も、遠因としては似たような要素をもっています。
そこで、「本作」ではあまり深く設定されずにいるこの部分、Q市が「ねじれた町」になってしまった理由に、僕は、若干の深みを加えたくなったのです。
Q藩での領主交代は、僕は江戸初期の徳川秀忠か、家光の頃のことと想定しています。
スムースに領国経営を始められず、反乱まで起こされてしまった(現代からタイムスリップした克巳達の仕業による)ことで、「上の町」の先祖は幕府に不手際を責められ、むしろ自分達の方が取り潰し必至かというくらいの危機に直面したことでしょう。責任者数人が腹を切るなど大変な犠牲を払いながら、彼らは幕府に許しを乞うたにちがいありません。
Q藩とQ市における住人同士の激しい反目は、そのようなメンタルからも生じているといった設定です。
ちなみに、下の町の人々と上の町の人々による鬼の日の夜の攻防は、さきほどふれた天草・島原の乱での一揆方の島原城攻めが、若干のイメージとなっています。
鬼のイメージは「スタンド」を思い浮かべてください!
眉村先生の「本作」では、鬼の日の「鬼」は、主人公たちが出現させるものではありません。主人公たちは「鬼退治」をする側です。
ですが、僕は何だかその設定がひどくもったいないように感じたため、「改作」では、鬼は全面的に主人公たちの武器であることにしました。(ただし本作でも主人公が偶然鬼の類を生み出すシーンはあります)
また、千恵子の持つ、人に時間の旅をさせる能力も、鬼の発現の一種であるとしています。
これ、「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンドに似ていますでしょ?
ねじれた町を読んで、その改作を考え、そのずっとず~っとあとに僕は「ジョジョ」を読んで、「あ、『鬼』が描かれているじゃないか!」と、感動したものです。
以上、もうちょっと書きたいこともあるんですが、
とりあえず、わが青春時代に楽しみをくださった眉村卓先生および永井豪先生への深い敬意、御礼とともに、
おそまつ、としておきます。