道草反省日記

誰かの反省、それはみんなのお役立ち

僕が日本語教師なら、生徒に「ありがとうございました」とは教えない

f:id:michikusakun:20181013191515p:plain

 

 

唐突ですが、自分が生きてきた人生以外の「自分の人生」を想像することってありますか?

 

きっとみなさんあると思います。

 

「あのとき、もう一社内定していたあの会社を選んでいたら」

とか、

「あのまま夢を捨てずにあのことを続けていたら」

とか。

 

そこで僕の場合、そんなに大げさなことではないんですが、社会人になってから繰り返し周りの人に言われることとして、

 

「学校の先生になってたらよかったのに」

と、いうのがあります。

 

どこをつかまえてそう見られるのかは、自分ではあまりはっきりとはわからないんですが、かなりの頻度でそう言われます。

 

なんででしょうね。

怪しい無学の五分刈り(いまの髪型)なのに。(笑)

 

つい先日も、ある人から、

「あんた、ホントは教師が合ってるね」

 

そう言われ、

「ハハハ、またか」と思いながら、帰り道、某駅近くにさしかかると・・・

 

7~8人の若い男女の外国人の集団と行き合いました。

 

彼らの向かう先は知っています。

その近所に日本語学校があるんですね。

 

地元からは、

「真面目に教えているのか」

「もっぱら外国人労働者を集めるための隠れ蓑になっているんじゃないのか」

 

なんて、不安の声が挙がったりもしている学校です。

実態は知りませんが。

 

さて、そんな数多(あまた)ある日本語学校ですが、そこでは「日本語教師」と呼ばれる皆さんが教鞭を執っておられます。

 

僕、ちょっと興味があるんですね。この仕事に。

 

ちなみに、

日本語教師については、「儲からない仕事の代表だ」ともいわれています。

 

理由は至極単純で、マーケットに購買力(?)が無いからです。

 

日本語を習いたい人のマーケットというのは、基本的にアジアに片寄っていて、しかも物価水準、所得水準の低い国々の皆さんがほとんどを占めています。

 

つまり、お客様が、お金を持っておられません。

 

無い袖は振れないのです。

 

そのことは、学校を運営する側がその理想如何にかかわらず収益に苦しみ、ついつい「ブラック」な体質に陥ってしまいやすい、基本的な土壌にもなっています。

 

ただ、よく、

「日本語教師はやりがいはあるんだ」との声は耳に入ります。

 

きっとそうでしょう。

 

人を育てる仕事ですから。

 

しかも、

ただ育てるだけじゃなく、多くの場合、日本語教師は、困っている人をたすける人助けの仕事である側面ももっています。

 

なので、おそらくは高貴な部類の職業といってもいい。

 

手を抜かず、邪悪に染まらず、真摯に力をそそぐかぎりは、聖職です。

 

さて、

そこでちょっと、想像してみます。

 

僕がもしも、日本語教師だったとしたら。

 

中国や東南アジア、あるいは南アジアなどからやってきた生徒たちに、日本語を教えることになったとしたら。

 

ひとつ、かならず徹底したいことがあります。

 

それは、日本語でのお礼の言い方です。

 

こう伝えたいと思います。

 

「ありがとうございました、とは言わずに『ありがとうございます』と言いなさい」

 

なぜなのか。

 

実は、お礼の言葉を過去形で言うのって、僕にはどうもしっくりこないんです。

 

目の前の相手に、

「うれしいです。感謝しています」

とは言うけれど、

 

「うれしかったです。感謝しました」

とは言いません。(日本語としてもはや変ですね)

 

なぜなら、そもそもお礼の言葉というのは、いま現在抱いている現在進行形の気持ちを相手にストレートに伝えてこそ、コミュニケーションのかたちとして成立するものでしょう?

 

お礼に過去形って、おそらく変なんです。本来は。

 

なのに、

「ありがとうございました~!」

 

100人に100人がそう言います。

 

なので、この用法はすでに世の中の常識なんでしょうし、言ってる人にも罪は100%無いんですが、それだけに、僕はこの言葉にいつもどこか痛々しいものを感じています。

 

日本語学校に通う生徒たちは、日常、われわれ普通の日本人の何倍もの頻度で、他人へのお礼の言葉を口にするはずです。

 

工場で。先輩に。ありがとう。

 

レジで。お客様に。ありがとう。

 

作業現場で。監督さんに。ありがとう。

 

そういう場所で、僕は、すこしでも聴いている側に心地よい、さわやかな言葉を口にする機会を彼らにもたせてあげたいんです。

 

なので、

「ありがとうございました~!」

よりも、

「ありがとうございます!」

こちらを僕は推したい。

 

半世紀以上日本語の中で生き、暮らしている者として、

論理的破綻のない、さわやかな響きを

僕は後者の方にこそ、より多く感じるからにほかなりません。

 

ちなみに付け加えると、

「申し訳ありませんでした」

もそうですね。

 

「申し訳ありません!」

と、現在進行形にする方が、より申し訳ない気持ちがしっかりと相手に伝わるような気がします。

 

以上、誰かに同意を求めるものではなく。

 

おそまつ。

 

▼こちらもどうぞ!

www.michikusakun.com

 

(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)