こんにちは!
今回はある提案です。
愚か者のアイデアですが、よかったら耳をお傾け下さい。
まずワタクシこと。
東京とその周りを中心に、もう四半世紀以上働いています。
その間、暮らしてきた場所についても同様です。23区内と、その周辺のパンの耳のような部分。一番都心から離れたときで、埼玉県の浦和市(当時。現さいたま市)です。
そこで、「自分は幸せだったなあ」とつくづく思うのは、そんな半生にあって、僕は首都圏の朝の通勤ラッシュというものをあまり経験していないんです。
最も頻繁に電車に揺られた会社員時代でも、僕は出勤日のうち8割くらいを朝のラッシュから逃れられていました。
理由は、一にオフィス以外の仕事先への直行業務が多かったこと。二に、会社が布いてくれていたフレックスタイム制度。この二つです。
オフィスは銀座にありました。最寄りは新橋駅です。あの新橋駅。
なので、本来ならば、僕は東京屈指の通勤地獄を味わわされるメッカのひとつといっていい場所で、長年働かされていたということにもなるわけです。
それでも、直行業務がない日でも、会社が設けてくれていたフレックス制度のおかげで、僕はしょっちゅう勝手気ままが出来ました。
やる気満々の朝は、早くも7時過ぎから出勤していたり(バカですね)。くたびれた日の翌日は、ゆっくり、の~んびりと、電車が空き始めてから乗ったり・・・
地獄のラッシュ時間を可能な限り避けることができていました。
これは本当に幸運なことであり、ツイていたとも思います。
さて、そこでひとつ。
そんな幸せな環境を偶然享受できた人間から言われると、かなり癪で、腹立たしいかもしれませんが、ぜひ、僕がいつも思っていることを言わせてください。
僕は、混み合う電車通勤が辛いことの理由のひとつに、電車に乗る人同士の「コミュニケーション」が無いことがあると思っています。
もちろん、急いで添えておきますが、それは根本的な理由ではありません。根本は「混むこと」です。混むことそのものが9割方つらい環境を生む原因です。
ただ、思いませんか?
たとえば混み合う車内。あなたの隣でつり革をつかんでいる、あなたに似たような年齢の見知らぬ人・・・。彼が、もしくは彼女が、もしもあなたの知り合いだったら。話はかなり違ってきますでしょ?
始発電車を待つプラットホーム・・・隣の列に見知った顔を見かけて、
「おはようございます」
「あ、おはようございます。今朝は冷えますね」
たまに挨拶を交わせるようなことがあったとしたら、ずいぶんと雰囲気は違ってきませんか?
「そういえば2~3日お顔見ませんでしたね」
「ええ、昨日まで出張で」
「そうですか。おつかれさま」
たとえ名前は知らなくとも、たまに言葉を交わせるような相手や、顔を知り合えている人とたびたび出会えるような中での電車通勤ならば、
どこかリラックスできるし、あるいは、何かのときには心強く思えるような、そんな安心感があったりするかもしれません。
(誰かの挨拶が聞こえるような電車内だと、痴漢も犯行をためらうかもしれませんね)
―――とはいえ、現実にはとてもとても。そんな雰囲気ではありませんよね。
そうは問屋がおろさない、そこにいる人間をして全員を緊張したハリネズミにさせるような、異様で殺伐とした場所こそが、朝の通勤電車や駅の中というものです。
で、提案なんです。
誰か、アプリをつくったらどうでしょう。
コミュニケーション用アプリです。
スマートフォンで使います。
そしてそれは、もっぱら電車通勤の中でこそ大いに役立つ仕様となっているのです。
まず、個人がアプリを導入しますね。
そこで、通勤路線や時間帯別にセグメントされた「サークル」のメンバーに登録します。
登録内容は、ハンドルネーム、年齢・性別・仕事や趣味・勤務地・出身地などもふくめたプロフィール。
これらを任意の範囲で登録し、任意の範囲で公開するかたちです。
ここまでで、「通勤路線」と「駅」をコアにしたSNS的構造が、まず生まれますね。
次いで、アプリ側では、登録されたメンバーの公開情報を各々突き合わせて「通勤友達」をリストアップしてくれます。
「へえ~、同じ時間帯に同じ駅で乗って、同じ駅で降りている人(登録ユーザー)がこんなにいるんだ・・・」
と、いったような展開ですね。
さらには、
「あれ、この『道草君』っていう人も、サッカーの〇〇FCのサポーター会員か。しかも僕と同じエンジニアだ。どんな人だろう・・・」
―――と、そんなような具合です。
さて、そこで朝、あなたはいつものように自宅を出て駅へ向かいます。
いつもの駅に到着しますよね?
すると、アプリは、そのとき同じ駅にいる通勤友達の存在や、相手の設定によってはいまいる位置も教えてくれるんです。
「あれ、道草君が近くにいるぞ」
あなたは、ついキョロキョロとしてしまいます。もちろん激しい雑踏の中、道草君がどの人かはまったく判別がつきません。
ですが、そのあと改札をくぐり、やってきた電車に乗ると・・・
「あ、おなじ車両に道草君が乗ってる! 」
しかし、見回しても・・・
「う~ん、混んでて見当もつかないや」
それでもともあれ、同じ電車の中に、似た好み、似た境遇の同志がいるような、そんな気分にあなたはなれるかもしれません。
そこで、
「この道草君、『誰からでもコンタクトOK』ってことになってるな。いつもこうして乗り合わせるようなら、今度メッセージ送ってみるかな」
なんて、あなたが思っていると、翌日の晩、逆に道草君の方から・・・
「いやあ、はじめまして。というか、おつかれさま。今朝は途中で電車止まっちゃって参りましたね。『〇〇FCサポーター』のプロフィール見てお声がけしちゃいました」
先に、メッセージが来たりするのかもしれませんね。
その後はお互いリアルな通勤友達になっていくのか、互いに顔は見知らぬまま、情報交換だけをする妙な(?)間柄になるかはユーザーさん同士の自由です。
なんとなく面白いでしょ?
そうでもないですかね?
殺伐とした朝のプラットホームや通勤電車内に、とりあえず「つながっている人」がいるという状況がつくれるって、僕は結構面白いと思うんです。(もちろん帰宅のタイミングでも)
以上のアイデアは、雑に思いついただけの、まだほんの入り口の状態ですが、
設計を詰め、
セキュリティを詰め、
仕組みを詰めていくことで、
もしかすると、車内犯罪や事故、あるいは災害の際の危機管理にも役立つようなものに、発展させていくこともできるんじゃないかなという気がしています。
アプリの広告枠も売りやすいんじゃないかな? きっと。
鉄道沿線別、それぞれのマーケットに絞ってのリーチが期待できますから。
以上、
混み合う電車での通勤時間という、ただただ人が集まって不快な思いをさせられているだけの実に生産性のないプロセスの中に、何かすこしでも面白いものを生み出せるような仕組みをつくれないものか。
そんな提案です。
すっかり長くなりました。
電車の中で読んでおられる方、駅を乗り過ごしませんように。
おそまつ!
(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)