こんにちは!
不動産説教シリーズです。
さて、マンションでもアパートでも、賃貸住宅を借りるとき、いまは大抵入居者さんは保険に入りますね。
火災保険とか、家財保険とか、損害保険とか。
呼び名は一定していないんですが、要は災害や事故等の被害による、
・入居者さん自身の家財の補償
をメインに、
入居者さんが事故の原因をつくった場合(要は加害者になった場合)においての、
・大家さんへの補償(主には建物や設備などの被害への補償)
・他の入居者さんへの補償(主には家財などへの被害の補償)
が、通常はセットになっているかたちの保険です。
なお、保険会社は、これをたとえば「賃貸家財総合保険」とか「賃貸居住者総合保険」などと呼んで、正式名称としています。
商品名としては、もっと親しみやすく、
「リビングFIT」・・・三井住友海上
「お部屋を借りるときの保険」・・・日新火災
こんな感じで、色々ですね。
ともあれ、
これにはかならず入っておいてくださいね!
アナタに求められているのは、要は「賠償」です
なぜ、「かならず入っておいてくださいね!」なのか?
たとえば、若い一人暮らしの皆さんなんかだと、こんな風に思う人も多いと思います。
「家財補償って言ったって、万円単位の家具なんて、僕はほとんど持っていないから、わざわざ保険に入る必要なんてないと思うけど・・・」
大事なところはそこじゃないんです。
お気づきとも思いますが、
ここで求められているのは、「補償」よりも「賠償」なんです。
あなたの被害よりも、大事なのは他人の被害に対する賠償・・・償いです。
「他人」って誰?
他人とは、さきほど触れたとおりです。
大家さんや、ほかの入居者さんのことです。
賃貸住宅の中で、あなたがうっかり起こした事故に対して、あなたがちゃんと責任を取れるように・・・
高額な賠償に苦しんで、生活を破綻させることなどないように・・・
そのために大家さんや不動産会社・管理会社は、あなたに保険に入ってもらいたがっているのです。
入居者さんに200万円近くの賠償が求められた実例
これは数年前、僕が身近に見た実例です。
その入居者さん、ある賃貸マンションに入居中のある朝、忙しかったのでしょうか、キッチンの水道の蛇口をうっかり閉め忘れて、そのまま仕事に出かけてしまったんですね。
しかもその際、運悪く、シンクには食器や食べ残しが結構な量で放置されていたんです。
お皿で排水口が塞がれていたところに、さらに食べ残しが流れ込んで詰まったらしく、
やがて水はシンクからあふれ、ドバドバと床に!
ついには、階下のお部屋・・・
別の方の住む真下のお部屋を水浸しにしてしまいました。
ひどいものでしたよ。
階下も留守中で、すぐには異変に気付けなかったんです。
天井のあちらこちらから雫が滴れ、絨毯やソファ、家電類までもがびしょ濡れに・・・
それらの弁償だけではありません。
「床を剥がしてプールみたいに水が溜まったコンクリートスラブから水を汲み出さないといけない。壁も剥がして、濡れた断熱材などを取り替えないといけない。そのための工事費も・・・」(つまりこちらは大家さんへの賠償です)
と、いうことになり、賠償額は総額で200万円ほどとなりました。
とんだ加害者となってしまったこの入居者さん、もしも保険に入っていなければ、年収の半分以上を払って償わなければならないところでした。
注意!「無保険」はこんなときに生じます
とはいえ、冒頭にも書いたとおり、賃貸住宅を借りるとき、いまは大抵入居者さんはこうした保険に入ることを求められます。
普通は、それが契約の条件になっているからです。
なので、心配な「無保険」の状態には、なろうと思ってもなかなかなれません。
ですが、少なくなってきてはいるのですが、無保険入居者さんになってしまう人は、それでもまだたまにいるのです。
よくあるのがこんなケースです。
大家さんと不動産屋さんがご高齢タッグ
・ずっと昔から賃貸住宅を営んでいるご高齢の大家さんが
・ずっと昔から不動産業を営んでいるご高齢の不動産会社さんに
ず~っと昔から、専属的に入居者募集を任せ続けている・・・そんなパターンです。
つまり、賃貸契約の条件として、上記のような保険への加入が常識的となる以前から、長年タッグを組んでいるお二人、と、いったケースですね。
そこに、たまたまあなたが入居者としてかかわってしまうと、保険のことがスルリ、と抜け落ちたまま、契約~入居と、進んでしまうことがあるのです。
賃貸住宅といえば多くは安普請の下宿やアパートで、住む人も主に学生さんなど。財産といえば、ギター一本程度しか部屋に置いていなかった時代の名残りといってもいいのでしょうか。
うっかりミスもたまに!
もちろん、単純なうっかりミスもあります。
家賃債務保証会社への保証依頼の場合、それが入居審査の一部にもなっているため、手続きが忘れられることはほぼないのですが、保険の方はそうではありません。
不動産会社・管理会社の窓口担当者が忙しすぎたりすると、ポロリ、と抜け落ちることがたまにあるんです。
・・・以上、「ご高齢タッグ」「うっかりミス」。
まさに、これらのパターンによって、危険な無保険状態となっていた入居者さんを僕はここ5年くらいの間に、お一人づつ見てきています。
自分で保険に入れるの?
ハイ。入れます。
不動産会社にわざわざ手続きしてもらわなくとも。
ある意味、そうした方がいいくらい。
なぜなら、不動産会社が用意している保険って、彼らが代理店として保険会社からもらう手数料も含んでいることがほとんどのため、通常は割高なんです(ちょっとだけですけどね)。
なので、賢い入居者さんは、「保険には自分で加入していい?」と、交渉します。
不動産会社の方でも、これにはOKを出すケースがほとんどでしょう。代理店手数料がもらえなくなりますが、さほどの額ではないので。
自分で入ろうとする保険の補償内容を示したうえで、
それが不動産会社・管理会社や、大家さんの求める内容をちゃんとカバーできているようであれば(ポイントはもちろん、賠償案件が生じた際の賠償額ということになります)、
スムースに交渉成立ということになるはずです。
この「自分で入る賃貸入居者さん用の保険」については、またあらためて、別の記事でふれることにしましょう。
そうだ。
こんな「保険適用事故」の加害者じゃなく、被害者になってしまったときの心構えについても、お伝えしなきゃ。
そちらも別記事で。
おそまつ!
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(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)