あけましておめでとうございます。
僕は、最近は毎年、埼玉県の川越市で年末年始を過ごしています。
この大晦日と元日も、川越で過ごしました。
2019年元日の関東は、とてもよく晴れ渡りました。
風もなく、穏やかな光がいっぱいに射す中、「川越七福神」をまつる寺々を巡ってみました。
のんびりと城下町をゆく楽しい散策コース、皆さんにもぜひご案内したいと思います。
- 第一番 毘沙門天 「妙善寺」
- 第二番 寿老人 「天然寺」
- 第三番 大黒天 「喜多院」
- 第四番 恵比須天 「成田山川越別院・本行院」
- 第五番 福禄寿神 「蓮馨寺(れんけいじ)」
- 第六番 布袋尊 「見立寺」
- 第七番 弁財天 「妙昌寺」
- 逆回りもアリです
- 川越ならではの風景との出会い
- 小江戸川越七福神めぐりグッズの紹介です
- ご縁日はいつ?
第一番 毘沙門天 「妙善寺」
江戸時代の寛永元年(1624)に創建されたと伝わる天台宗のお寺です。毎年夏の終わりから秋口にかけて、庭におみなえし(女郎花)が咲くことでも知られています。
妙善寺は、JR・東武川越駅の東口から徒歩6分程度のところにあります。
本堂建物は、小江戸川越七福神めぐりのお寺の中ではもっとも近代的(?)です。正面の階段をのぼり2階の回廊へ進むという、変わったアプローチでのお参りがこのお寺の特徴です。
七福神のご縁日には、本堂の扉が開かれ、参拝客のすぐ目の前に小さな毘沙門天さまの尊像がお出ましになります。
境内に立つ「川越さつまいも地蔵尊」です。さつまいもを胸に大事そうに抱えた姿がなんともほほえましい・・・
10月13日には「いもの日まつり」がここで行なわれます。
元日にはいつも登場。やきいも屋さんがこの日も境内でいもを焼いていました。周囲には美味しそうな香りが漂っていました。
僕は未確認なんですが、月ごとの七福神のご縁日(毎月1日)にも、出店しているのかもしれません。
第二番 寿老人 「天然寺」
天文23年(1554)の創建と伝わる天台宗のお寺です。ご本尊の木造大日如来坐像は、川越市内では最古の仏像と見られています。
妙善寺からは、徒歩12分程度の道のりです。
お寺は、川越の市街地を載せた武蔵野台地北端部分の東の縁に開けています。明るい境内には屋根付きのベンチも置かれ、参拝客を大いに歓迎してくれています。
境内奥の崖下に、寿老人のまつられたお堂があります。
天然寺の名物、池の錦鯉です。写真ではよくわかりませんが、デカいんです! 写っている手前の数匹のうち半分は、多分1mを超えているんじゃないかな。
きっと長生きもしてるんでしょうから、まさに寿老人さまのご利益といえますね。
第三番 大黒天 「喜多院」
平安初期の創建ともいわれ、川越でもっとも大きく、最も有名なお寺である喜多院が、小江戸川越七福神の第三番霊場です。川越大師ともよばれる天台宗の名刹です。
天然寺からは徒歩18分程度の道のりです。
川越総合高等学校前を通るオーソドックスなルートを辿ると、途中、「中院」「仙波東照宮」にも立ち寄れます。
なにしろ元日ですので、関東屈指の初詣客が集まるお寺・喜多院は、大変な混み様でした。でも、混雑するだけにたくさんの屋台も出て、楽しいことは楽しいですよ。
大黒様は、 普段は本堂(慈恵堂)脇にたたずむこちらのお堂にいらっしゃるはずなんですが、この日は、目の前に参拝客を捌く臨時のテントが立ち上がっているなどしたため・・・
こちら、雰囲気イマイチなプレハブ小屋にて「出開帳」されていました。
お姿はちゃんと拝めましたよ。ロボダッチ(知らない人が多いかな)みたいなかわいい体形の大黒様です。
第四番 恵比須天 「成田山川越別院・本行院」
幕末の嘉永6年(1853)、黒船来航の年に創建された新しいお寺ですが、成田山の別院としては、初めて誕生したお寺でもあります。
喜多院のほぼ北隣りといっていい位置にあります。徒歩4分ほど。
真言宗を代表するお寺のひとつともいえる「成田山」ですので、たまにここに立ち寄ると、本堂で迫力の護摩行を観せてもらえることがあります。
恵比須さまは境内に建つ福寿殿にまつられています。実は大黒様とペアで並んでいます。
お寺のご本尊は不動明王です。本堂脇にある亀で有名な池のほとりにも不動明王さまが屹立しておられます。
お立ち寄りスポット「大正浪漫夢通り」
成田山川越別院から、次の第五番「蓮馨寺」へ向かう途中、右手に現れる通りです。
かつてはかなりさびれたアーケード商店街だったのですが、平成7年に屋根を撤去したところ、大正・昭和の景色が広がる大変ロマンチックな街並みが現れました。
第五番 福禄寿神 「蓮馨寺(れんけいじ)」
川越のお寺のうち、中規模以上のところでは、もっとも賑やかな街なかにある浄土宗のお寺です。雰囲気も明るく、いつ訪れても参拝客でいっぱいです。
成田山川越別院からは徒歩8~9分くらい。門前はす向かいには、こちらも街のオアシスとなっている「川越熊野神社」も鎮座しています。
後北条氏の時代、天文18年(1549)の創建と伝わる蓮馨寺ですが、江戸期には浄土宗関東十八檀林のひとつとなり、さらに多くの崇敬を集めています。
本堂(呑龍堂) 外陣に佇む、なで仏として大人気の「おびんづる様」です。原始仏教時代にいたとされる面白い人ですが、きっと実在したんでしょうね。
調子に乗ってお釈迦様に叱られたエピソードがあることから、居場所はいつもお堂の外です(東大寺の像が有名ですね)。
おびんづるさんのさらに脇に、七福神めぐりのお目当て、福禄寿さまがいらっしゃいます。
お立ち寄りスポット「蔵造りの町並み」「菓子屋横丁」
蓮馨寺から次の第六番「見立寺」へは、川越最大の観光ストリート・一番街「蔵造りの町並み」を経由して向かうことが出来ます。さらに蔵造りの町並みに続いて「菓子屋横丁」も、寄り道先に選べます。
菓子屋横丁は今出来のテーマパークではなく、江戸期の門前町以来の歴史をもつ、伝統あるお菓子の町です。
第六番 布袋尊 「見立寺」
永禄元年(1558)の創建と伝わる浄土宗のお寺です。蓮馨寺とのかかわりが深く、かつては蓮馨寺の門前にあったとの記録も残されています。
蓮馨寺から見立寺までは、近いルートを通れば10分くらいの道のりですが(上記地図)、蔵造りの町並みを「札の辻」交差点まで北上したあと、菓子屋横丁も巡るなどすれば、時間はさらにかかります。
縁日のため、この日、布袋さんは本堂へご遷座していました。香炉にはこのお寺にゆかりの深い後北条氏の「三つ鱗」紋が見えていますね。
こちらが布袋さんがいつもいらっしゃる小さなお堂です。ちなみに布袋さんは、七福神のうち唯一、人間として実在した可能性が高いメンバーです。
庭の手水鉢です。手前に敷き詰められた石の下には、水琴窟が仕掛けられています。水を流すととてもよい音が響きます。
小江戸川越七福神めぐりのお楽しみ「水琴窟」
小江戸川越七福神を巡る際の楽しみのひとつが「水琴窟」です。
2016年より、すべてのお寺の庭に水琴窟が置かれるようになりました。
それぞれに音色は違っていますが、僕が一番よい音だと感じているのが見立寺の水琴窟です。
第七番 弁財天 「妙昌寺」
永和元年(1375)の創建といわれる古刹です。日蓮宗のお寺です。土用丑の日に行われる「ほうろく灸」行事が知られています。素焼きのお皿を頭の上に載せ、その上からお灸を据えて健康を祈願します。
見立寺から妙昌寺までは、10分程度の道のりです。のどかな住宅地を経由します。
妙昌寺はかつては別の場所にあり、江戸時代中期、川越城の改修にともなって、現在の地へ移築されました。昔はここから富士山がたびたび美しく見えたそうです。
境内奥、坂を下ったところに弁財天をまつるお堂があります。
お堂の壁には、七福神唯一の女神さまである弁財天の姿が鏝(こて)絵で描かれています。
お堂の裏手に回るとこんな風景なんですね。
伝承では、妙昌寺が移転してくるよりもずっと以前の室町時代より、弁財天は水の神様としてここに祀られていたようです。
なお、この川は、江戸の歴史が好きな人には大変有名な新河岸川です。川越と江戸を結ぶ物資の大動脈だった川です。妙昌寺は、さきほど紹介した天然寺のちょうど逆側、川越市街を載せた台地の西の端に位置しています。
逆回りもアリです
妙昌寺からは、東武川越市駅までが徒歩約10分、西武本川越駅までが約11分といったところです。
なので、両駅から逆に、妙昌寺~見立寺~と巡って行き、最後は第一番・妙善寺を経てJR・東武川越駅へ、というコースももちろんアリです。
そちらの方がラストの歩行距離が少ないので(約6分)、気持ち的に楽かもしれませんね。
全体地図も掲げておきましょう。
(小江戸川越七福神めぐり公式サイトより引用しています)
川越ならではの風景との出会い
七福神めぐりをしていると、川越ならではの風景にも出会います。たとえば、時が止まったようなこんな看板・・・
宇津救命丸っていまもありますけど、こうした看板を見ると、なぜかやたらと懐かしい響きに感じられます。
夜泣きにも下痢にも・・・なぜか脈絡なく赤ん坊に効いちゃう不思議な万能薬ですよね。
警察への連絡箱です。電話が無い家もたくさんあった時代のインフラのはずですが・・・川越ではいまも機能しているんでしょうか。
川越まつりの山車を収めている各町内の蔵にもときどき出会います。堂々たる名乗りの文字がかっこいい。
小江戸川越七福神めぐりグッズの紹介です
七福神めぐりに関するグッズが、各お寺で販売されています。
(画像は小江戸川越七福神めぐり公式サイトより引用しています)
買う人が一番多いのがこれです。色紙です。
この元日も、たくさんの人が袋に入れ、手に提げて歩いていました。
1枚300円ですが、写真の朱印は押されていません。
朱印は、各お寺で100円で押してもらいます。なので、合計で1,000円ですね。(2019年1月現在・以下同)
ただし、このシステムはご縁日だけの発動で、それ以外の日はやや味気なく、朱印もそろった完成品を買うことになるようです。
絵馬です。
板は900円。金色の「ご分体」各300円は、それぞれのお寺で購入し、貼り付けていくかたちです。
なので、合計3,000円ですね。
ただし色紙同様、このシステムはご縁日だけで、それ以外の日はやはり完成品を買うことになるそうです。
手ぬぐいです。2種類あります。各500円です。
ご縁日に限らず購入できるそうです。
一番手ごろな200円の切り絵です。立てて飾ります。
こちらも手ぬぐい同様、ご縁日に限らず購入できるそうです。
ご縁日はいつ?
元日から1月7日まで。さらに、毎月1日です。
それ以外の日も、上記、色紙へのご朱印集め、絵馬へのご分体集めこそできませんが、七福神をまつるお寺を巡る方は結構多いそうです。
以上、2019年元日・小江戸川越七福神めぐりについてのレポートでした。
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