さてさて。
今日は、フリーレントの話にゃ。
賃貸物件探しをしていると時々出会う「フリーレント」について、話をしていくにゃ。
これ、「助かるサービスだな~」と、一瞬は思うんにゃけど、実は結構要注意のサインでもあるんよ。
もちろん、全部が全部そうじゃない。
にゃけど、とにかく気を引き締めて当たってほしい。そんな仕組みがフリーレントにゃ。
賃貸・フリーレントのあらまし
フリーレントの仕組みは簡単にゃ。賃貸物件を借りるにあたって、
「当初の一定期間分の家賃は支払わなくていいですよ」
と、いうサービス(契約)になってるにゃ。
大抵は「フリーレント1カ月」か、「2カ月」と、広告には表示されてるよにゃ。
「3カ月」は……?
まれにあるけど、あまり見かけないにゃ。
ともあれ、引っ越し代だなんだかんだで、何かとお金が出て行きやすい転居当初の出費がグッと抑えられるということで、フリーレントは、基本、みんなに歓迎されているといえるよにゃ。
ちなみに、居住用の賃貸でフリーレントがよく見られるようになったのは、'90年代の後半くらいからかにゃ?
バブル崩壊後、少し経った頃だにゃ。
フリーレントにありがちな「落とし穴」
フリーレントには、よく落とし穴があるんよ。
フリー(タダ)を謳うものには大抵ウラがあるけど、賃貸のフリーレントももちろん例外ではにゃい。
挙げていくにゃ。
(1)早期解約すると取り消されることがある
フリーレントには、
「早期に解約、退去すると、さかのぼってフリーレントが取り消される」
―――そんな条件がくっついてるケースがよく見られるにゃ。
たとえば、
「フリーレント2カ月。ただし、入居後半年以内に退去の場合は、全部を取り消し。さらに、半年~1年以内に退去の場合は、1カ月分を取り消し」
「以上の取り消し分については、別途、追ってお支払いいただく」
なんて約束になってるんよ。
つまり、入居早々退去しちゃうと、お得分が消えて無くなるというわけだにゃ。要はペナルティにゃ。
ちなみに、フリーレントが現れ出した初期の頃は、こんな契約って、そんなに多くなかったんよ。
ところが、そのうち困った入居者が現れ始めたんよにゃ。
フリーレントの付いた物件を早期解約しながら渡り歩いて、住居費を浮かせる人が出てきたんよ。
これで、オーナー=大家さんたちが、すっかり参ったんよにゃ。
それもあって、いま挙げたみたいな、厳しい条件がフリーレントには盛り込まれることが多くなったにゃ。
(2)「違約金」もくっついていることがある
上記に加えて、そもそもその物件には早期解約時の「違約金」も設定されているなんていう、超キビしいケースもたまに見かけるにゃ。
つまりは、フリーレントを取り消され、その分の払い直しを求められるだけでなく、たとえば、
「半年以内に退去の場合は家賃2カ月分の『違約金』を。半年~1年以内の場合は1カ月の違約金を入居者は払うこと」
―――そんな約束にも従わなければならない場合があるんよ。
とどのつまり、フリーレント2カ月は付いているものの、半年以内の退去で……
「フリーレント分は全部取り消し」
「違約金家賃2カ月分徴収」
そんな契約内容の物件で、たとえば入居5カ月で退去せざるをえなくなったとしたら、マジでえらいことにゃぞ。
5カ月住んで、支払いは3カ月分で済む予定だったのが、7カ月分にゃ。
とんだ惨劇といっていいよにゃ。
(3)フリーレントが設定されるのはそもそも不人気な物件
ところで、なぜ、フリーレント物件の多くは退去に厳しいのか?
さっき、その答えのひとつを挙げたけど(フリーレント物件を早期解約しながら渡り歩く人への対策)、実は、答えはもうひとつあるにゃ。
「退去に対し、厳しい条件を課す物件」
と、いうのは、裏を返せば、
「入居者に退去されやすい物件」
―――で、あることが多いんよ。
要は、フリーレントの付いている物件って、そもそも入居者に逃げられやすい理由を抱えている物件が多いんよにゃ。
建物、環境、設備……何らかの「理由」を。
でもって、さらに裏を返せば、その「理由」って、その物件に入居者が付きにくい(なかなか入居してもらえない)理由ともなるわけにゃ。
つまり、
「入居希望者に不人気」
「入居者には早く出て行かれやすい」
そんな残念な物件に、フリーレントは設定されやすいということにゃ。
すると、思い浮かぶよにゃ? たとえば、
「駅から遠い」
「建物が古い」
「部屋が1階で、かつ日当たりが悪い」
「バス・トイレが一緒」
「周りの騒音がひどい」
そんなこんなでも、
「なんとか入居者をつかまえたい!」
そんでもって、
「つかまえた入居者は簡単に逃したくない!」
―――と、なると、
「入口はフリーレントで広く甘く」
「出口は、厳しい契約内容で狭く、厳しくしておこう」
ということに、当然なって来たりもするわけにゃ。
要は、オーナーも必死ということだにゃ。
(4)賃料発生日を遅らせられないことが多い
「契約は〇月〇日に交わすけど、実際の入居日は少しあとになる。なので、賃料発生日をその日まで遅らせて!」
進学や就職なんかで、地方から上京する入居者なんかに特に多いこのリクエスト……わがままにゃのか?
いやいや。そんなことない。
入居者側として、ニーズが自然に生じやすい、無理のない要求といえるひとつにゃ。
なので、これに応えてくれるオーナーって、結構多いんよ。
にゃけど、フリーレントが付いていると、難しくなるにゃ。
家賃の発生しない期間がますます長くなってしまうので、さすがに叶えられないことがよくあるよにゃ。
その場合は、仕方ない。もって瞑すべしだにゃ。
フリーレントは「条件」「理由」を見極めよう!
さてさて。
そんなこんなで、説明したとおり「落とし穴」が結構ありがちなのが、賃貸のフリーレント物件にゃ。
にゃので、大事なこと2つ。
(1)契約内容の確認
始めの方で伝えたとおり、退去するとフリーレントが取り消される期間や、さらには、違約金があるかどうか?
しっかり確認して、納得してから契約するのが肝心にゃぞ。
(2)フリーレントを設定している理由を見極める
なお、その方法として、必ずやっておくべきなのが、「不動産会社の担当者に聞く」ことにゃ。
単刀直入に、尋ねてみるといいにゃ。
「この物件、フリーレントが付いているということは、やはり何か不人気な条件があるからでしょうか?」
すると、ほとんどの担当者は、理由を知っていれば教えてくれるにゃ。
「やっぱり、駅から20分は遠いですから。この辺り、周りにお店なんかも無くなりますし」
とか、にゃ。
とはいえ、ここで悩ましいのは、不動産会社の担当者とはいっても、扱っているどの物件についても詳しいとは限らないということなんよ。
それどころか、担当者自身、その物件を見たことないなんてこともあるにゃ。賃貸物件情報流通の仕組み上、仕方がないことなんにゃけどな。
なので、これが、さらに大事。
「物件を自分の目でちゃんと見ること」
しっかり内見することって、フリーレント物件ではますます大事なんよ。
「礼0・敷0」
「フリーレント2カ月」
「部屋は3階建ての3階」(不人気な1階じゃない)
「広い」
「築年数もそんなに嵩んでない」
なのに、なぜなんだ?
―――で、現地に行ってみると、
目の前の道路が交通量の多い坂道の交差点。
アクセルを踏みしめながら発進、通過する車のエンジン音が、昼夜ひっきりなしに響き渡る……
過去に不動産会社を経営していたトラキチが見てきた中には、そんな物件がいくつもあったにゃ。
理由によっては、フリーレントはたしかにお得
それでも、フリーレントが設定されている理由を見極めたうえで、それが自分にあてはめて、問題にならない場合、フリーレントはたしかにお得だにゃ。
たとえば、さっきチラッと出て来た「駅遠」にゃ。
駅徒歩20分……にゃけど、
「僕の職場はそこからさらに遠い郊外の事業所。駐車場付きのこの物件からはクルマで5分。途中の道路は空いていて、ベストです」
そんな人にとっては、フリーレントはとてもありがたい条件になるにゃ。
フリーレントの裏話
最後に、ほとんどの人が知らない裏話をひとつ添えておくかにゃ。
賃貸のフリーレントって、これが広がり始めた当初は、
「フリー(タダ)なんて言葉を掲げて、PRするのはいかがなものか」
疑問を呈する意見もあったんよ。
なんでか?
たとえば、
「家賃6万円」
「契約期間2年(24ヶ月)」
「フリーレント2ヶ月」
と、謳う物件があったとするよにゃ?
その物件の家賃は、契約期間ベースでいえば、6万円 × 22カ月(24マイナス2カ月)―――で、132万円にゃ。
2年間の総額では132万円になるんよにゃ。
で、これを契約期間内の月数に振り分けるとするにゃろ?
すると、
132万円 / 24カ月 = 55,000円
と、いうことになるにゃんか?
つまり、
「その物件って、実質、オーナーが家賃月額55,000円で2年間貸すつもりでいるものとみなせるよね?」
「そこに『家賃6万円です』『2カ月フリーレント(タダ)です』ってPRを載っけるのって、言いすぎなんじゃないの?」
そんな意見も、最初の頃はあったんよ。出どころはある公の機関にゃ。
随分とおカタい解釈ともいえるけど、どうにゃ? 論理としては、正しいといえなくもないよにゃ。
なので、
「家賃6万円」「契約期間2年(24カ月)」「フリーレント2カ月」
であれば、それはすなわち、
「家賃5.5万円」「契約期間2年(24カ月)」
と、一緒。
「ならば、この部屋は5.5万円の部屋だと考えた上で、ほかとも比べて検討しよう」
そんな考え方もあるということだにゃ。
(上段のイラストは「イラストAC」「愛」さんの作品をお借りしてるにゃ)