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賃貸住宅に長く住んでほしい! だったら長く住むほど安くなる賃貸にしちゃえば? という話

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入居者さんには長く住んでいただかないとやっていけない!

それがイマドキの賃貸経営です。

 

だったら、長く住むほど家賃が安くなることにしちゃえば?

早く出て行かれないように。

 

これが僕からの提案です。

 

ただ、これ、

アイデアなんてもんじゃなく、考えればすぐに思いつくことでしょ? って、僕は思うんです。

 

でも、誰もやらないんです。やってみないんです。

 

僕が大家ならやりますよ。

 

否、不動産業界で、少数・小規模によるトライアルは、残念だけどつねにお客さんに怪しいと見られちゃうので、

言い直しましょう。

 

僕が若干でも名の知れた管理会社の社長ならすぐにやりますよ!

 

そんなお話です。

 

 

縛り付きフリーレントよりずっと印象がいい

 

たとえばこんな契約条件があるとします。

パターン1としましょう。

 

パターン1

・家賃7万円

・フリーレント1ヶ月

・1年以内の退去でフリーレント取り消しの条件アリ

 ―――2年住んでもらって、家賃収入161万円(7万 × 23ヶ月)

 

で、いきなりですけど、めちゃくちゃ印象悪いですよね。最後の「1年以内の退去でフリーレント取り消し」ってやつ。まるで「半年も経たず出て行きたくなるような程度の物件だから縛りを入れている」かのようです。(実際そうだったりもします)

 

でも、こんなのが一般化する前は、実際半年も経たず出て行って、フリーレント物件を渡り歩くツワモノもいたんです。(笑)

なので、最近のフリーレントにはよくこんな縛りがかかっています。

 

対して、こちらはどうでしょう。

パターン2とします。

 

パターン2

・家賃7万円

・1年後から(13ヶ月目から)家賃は3千円下がり、6万7千円になる

 ―――2年住んでもらって、家賃収入164.4万円

 (7万 × 12ヶ月 + 6.7万 × 12ヶ月)

 

長く住むことへのモチベーションが、多分入居者さんの胸には湧きますよね。なおかつ比べると3万4千円、こちらのパターン2の方が大家さんはおトクです。

 

空室リスク、募集・原状回復コストも避けられる

 

さて、続けましょう。その2年後です。

 

パターン1の2年後

上記のパターン1(長く住んでも家賃が下がらない方)で、

入居者は更新をせずに退去したとします。

ちなみに更新料は家賃1ヶ月分。7万円に設定されていました。

でも、出て行かれちゃったので今回は取りっぱぐれました。

なので、更新料収入は0円です。

 

パターン2の2年後

一方、パターン2の入居者さんは、入居を継続してくれました。

なぜなら、このうれしい契約には続きがあったのです。

更新するなら、次の2年間は家賃がもう2千円下がって、6万5千円になるのです。

しかも、更新料も「新家賃の1ヶ月分」に設定なので、6万5千円。

なので大家さんの実入りは、6万5千円です。

繰り返しますが、パターン1では0円でした。

 

―――さて、それからまた2年が経ちました。最初から数えると4年後ですね。

こうなりました。

 

まず、パターン1の続きから。

 

パターン1(長く住んでも家賃が安くならない方)の4年後

 

更新後の家賃154万円(収入)

幸い、空室となった部屋には、募集1ヶ月後にまた入居者さんが付きました。

埋まるのが早かったため、家賃を下げなくとも済みました(7万円のまま)。

ただし、またフリーレントで「誘い」をかけましたので、

24ヶ月から、空室期間1ヶ月分と、フリーレント1ヶ月分を差し引き、

7万 × 22ヶ月で、この金額です。

 

募集費用14万円(支出)

一方、募集のための出費が生じています。

仲介会社もしくは管理会社へ支払うインセンティブ込みの仲介費用です。

家賃2ヶ月分です。

通常、このくらいかこれ以上になることが多いですね。

細かくは法的問題があるんですが。

 

原状回復費用3.5万円(支出)

さらに、募集のためにはお部屋をクリーニングする必要がありました。

業者からはその請求が7万円来ました。(ホッとしていい値段です)

ただし契約上、退去時クリーニング代として、入居者さんからは、

3.5万円をいただけることにもなっていました。(敷金より差し引き)

そのため出費は3.5万円で済みました。

 

以上合計して、大家さんの実入りは、

154万 - 14万 - 3.5万 = 136.5万円 です。

 

次に、パターン2の続きです。

 

パターン2(長く住むと家賃が安くなる方)の4年後

 

更新後の家賃156万円(収入)

こちらは、更新後さらに安くなった家賃のそのまま2年分です。

6.5万円 × 24ヶ月です。

パターン1と違い、空室は生じなかったので、その分のロス無しです。

 

募集費用(支出)0円

募集はしませんでしたから、当然こうなります。

 

原状回復費用(支出)0円

こちらも然りです。

 

以上合計して、大家さんの実入りは、

156万 ー 0円 ー 0円 = 156万円 です。

 

またしてもパターン1(136.5万円)よりも大家さんは儲かりましたね。

両者の差も大きいです。

 

そして、思い出してください。

パターン2の大家さんは、更新料もちゃんともらえていますが(6.5万円)、更新時、サービス精神を発揮して入居者さんからこれをもらわずにいたとしても、

それでもまだ、実入りでパターン1に勝っています。

 

なので、

「入居2年目から家賃下がります」

「3年目からもまた下がります」

加えて

「更新料要りません」

の、豪華サービス3連発を打ち出したとしても、上記仮定においては、「長く住むほど安くなる賃貸」の大家さんの有利は成り立ちます。

 

以上、いかがですか?

 

仮定にもとづく、ごくごく簡単なシミュレーションでしたが、ことさら無理なく自然で公平な設定ができていると思いますよ。

 

なので僕は、自分がそれをやれるなら、

入居者さんに長く住んでもらうために、「長く住むほど安くなる賃貸」を実践したいんです。

 

結婚とか、転勤とかのライフイベントによる退去は仕方ないとして、

多少のコストをかけても、それ以外の理由による退去を極力抑えることで、基本、大きく儲かるようになっているのが現代の賃貸経営なのですから。

 

なぜ出て行くの?と、尋ねやすい

 

さらに。

「長く住むほど安くなる賃貸」には、こんなメリットもあると僕は思っているんです。

 

たとえば上記のパターン2で、

入居者さんが、入居1年を待たずして「退去したい」と言って来たとしますよね?

 

僕なら慌てて問いかけます。

「え? もうすぐ家賃も下がるのに、何かあったんですか?」

 

すると入居者さん、

「実は、上のお部屋がうるさくて・・・」

 

すかさず僕、

「あっ、それはいけない。なんとかしましょう」

 

面白いことに、こちらがインセンティブを用意していることによって、入居者さんの悩みを引き出したり、相談に乗ってあげられるきっかけまで、自然に掴みやすくなるんです。

 

顧客の声を聴く。

これって、とてもとてもプラスなんです。ほかの商売ならあたりまえのことですね。

 

さらに、

ここで「なんとかしましょう」と告げた僕は、ホントに一生懸命、なんとかしようとするでしょう。

 

なぜって、予定ではこの入居者さんには出て行かれない方が僕は儲かるんですから。

思い出してください。さっきの計算を。

 

でも、入居者さんはそうは受け取らないかもしれません(笑)

 

「このまま私を入居させとけば家賃が下がちゃうのに、なんて親身になってくれる大家さんなんだろう・・・」

 

ハハハ。僕は悪いヤツですね。

 

長く住めば大家になれる?

 

以上、長々と述べてきたものは、ほんのたたき台でもあるつもりです。

 

長く住んでいることで入居者さんにインセンティブが生じる、というテーマで考えていけば、ほかにもチャレンジできることってさまざまあるはずです。

 

たとえば、

「〇年以上住んだら、家賃が下がる上に、その部屋の転貸権を希望すればもらえちゃう」

とかね!

面白いと思いますよ。

入居者さんだった人が大家になっちゃうんです。

細部で詰めないといけないことはいろいろ多いけれど。

 

ともあれ、

いまはほとんどの賃貸住宅にとって、入居者さんに長く住んでもらうことって、必須のテーマになっています。

 

だったら考ないといけないこと。

それは、縛り付きフリーレントなんてえげつないことをするんじゃなく、

 

長く住むことにどんなベネフィットを持たせるか

 

それなんじゃないですか?

 

そいつをみんなで考えましょう、と、いうのが、今回のおハナシの主旨です。

 

以上、おそまつ!

 

(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)