6月にこんなタイトルの記事を書きました。
「『自分が住みたくない物件には投資するな』。不動産投資でこれだけは確実に言えると思う」
これに続けて、不動産でものすご~く原則的なことをまたもう一度、記しておきたいと思います。
とても簡単なことで、とても当たり前のことです。
でも、よくみんなの頭から抜け落ちます。
そして、不動産を売る側は、これがあまりに根本的であり、なおかつ自らの営業活動の支障になる場合も多いので、通常、お客さんにはわざわざアドバイスしてくれません。
そこで、僕がお伝えしておきますね。
建物は生ものです。土地はちがいます
では、早速いきますよ。(もうタイトルに書いてますが・笑)
1.不動産には、「土地」と「建物」があります
2.土地は腐りません
3.建物は腐ります。生ものです
わかりますか?
一緒くたに「不動産」として取引きされる土地と建物ですが、資産という意味においては、この2つは大きく異なる本質を備えています。
まず、建物は、生ものです。
新築のマンション、戸建て。ピカピカの姿で買主さんの前に登場しますね。ドアを開けると、誰の生活臭がしみ込んでいるのでもなく、建材の匂いだけが新鮮に(?)漂ってきます。
ウキウキしますね。
でも、現実は残酷です。
建物の価値は、そのウキウキの瞬間がピークです。
このあとは、1日・1秒、時間を経るごとに、建物は古びていきます。ほんの一部の例外を除いて、価値は一方的に下がっていきます。
つまり、建物は生ものです。
まるでお寿司や果物のような、腐る「生もの」なんです。
では、土地はどうでしょうか?
土地の方は、だれかがそこを買ったからといって、そのことは基本、価値に影響しません。
たとえば、僕がある土地の上に木造の2階建てを建てて、30年住んだとします。
30年後、建物は市場価格を大きく下げてしまっています。場合によってはゼロか、あるいはマイナスかも(取り壊しが必要で、かつその費用を引くと)。
でも、土地はそうではありません。
土地は腐らないのです。買った時の姿のままです。買った時の機能も通常は保たれています。
ではその価値は?
買った時よりも多少下がっているケースがいまの日本では多いのですが、
たとえば、何らかの理由でその地域の人口が増えてきているため、過去より値上がりしている・・・
あるいは、近年辺りの交通の便が良くなったため、大いに高騰している・・・
なんて、ラッキーなこともあるかもしれません。
つまりは、
「建物は生もので腐る」
・・・なので、基本、価値は一方的に下がる
「土地はそうではない」
・・・価値は下がるかもしれないし、上がるかもしれない
この2つの本質の違いをしっかりと切りわけて考えること!
これからマイホームを買おう、建てようとしている人は、ぜひ胸に刻んでくださいね。
これって、少子高齢化、人口減少、さらには国民の長寿命化が今後もますます進む日本では、とても大事なことです。
タワーマンションの価値はどこにある?
さて、以上を応用して考えてみましょう。
たとえば、タワーマンションの価値ってなんですか?
すぐにわかると思います。タワーマンションの価値は、ざっといって建物がそのほとんどを形成しています。
買主さんは土地も買ってはいますが、それは建物の敷地面積を買主さんみんなが計算上分け合っただけの、ほんのわずかな「共有持分」でしかありません。
すると、大概は狭い敷地内にとてつもない数の世帯が積み重なって暮らしているのがタワーマンションなわけですから、
買主さんが支払った購入代金は、そのほとんどが「生もの」である建物部分、買ったお部屋そのものに費やされているといっていいわけです。
つまり、タワーマンションをわかりやすい典型例として、マンションを買うということは、基本、それは「生ものにお金を投じている」割合が大きな行為です。
なので当然、その生ものがどのくらい新鮮さを保てる「日もちのいい」ものなのかは、そこにお金を投じる際、重要な選択基準になってきます。
すなわちリスク管理上、
「腐らないうちにいつ手放すか?」をつねに視野にいれておくべきなのがマンション・・・と、いうことも出来るでしょう。
いやな表現ですが、
「売り抜けるタイミングをつねに考えておく」
「ババ抜きの敗者にならない」
は、新築・中古に限らず、家族の幸福のために、マンション購入では必ず持っておきたい心構えです。
戸建てを買う、は、土地を買うこと
一方、戸建て住宅はどうでしょうか?
こちらでは、買主さんは、なによりまずその場所の土地値・相場値に注目しておくことです。ある意味、「土地を買うんだ」というスタンスであってもいいくらい。
かといって、建物の方にさっぱり注意が行き届かず、うっかり欠陥住宅を買わされてしまってはいけませんが、ともあれ、資産価値という観点からは、注視すべきは土地です。
土地に価値があり過ぎて高いと、相続税という別の問題が出てきたりはするものの、「建物は生もの。土地は腐らない」は、ここでも基本の心構えです。
対して、
「田舎で駅から遠くて、不便な場所だけど、ここなら土地が安いので理想の家が設計できる」は、もちろん考え方としてOKです。価値観ですから。
ただし、不動産って、これを消費財だと考えると、
買う人がいないと手放せない
かといって、簡単には捨てられない
と、いう実に困った特徴を備えているんですね。
「理想の設計」の視野の先には、持参金を付けても引き取り手がないくらいに価値の下がった土地と、そこに乗っかった大型粗大ゴミ(老朽化した建物)といった結果がありうることも、リスクとして心がけておくことが大切です。
僕は土地公有主義者?
最後に、僕自身の想い。
僕は本当をいうと、土地が、国民個人個人の所有物として認められる制度って、今後はあまりいいと思っていなんです。
その仕組みは、たしかにこれまで、日本にエネルギッシュな歴史や時代をもたらしてきた理由の大きなひとつではあるんでしょう。
でも、これからの日本では、このことがいろいろと余計な面倒を社会に生んでいくような気がしています。
そしてもうひとつは、
僕の理想ですが、自分が住む家も、土地も要りません。
それよりも、旅して暮らしたいですね。
僕は、お金持ちの寅さんになりたいんです!
以上、おそまつ。
(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)