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川越・西雲寺。「門前はデパート」の美しいお寺だにゃ

 

 

クレアモールにあるお寺

 

さてさて。

 

今日、紹介するのは、川越の美しいお寺、西雲寺(さいうんじ)にゃ。

 

川越の賑やかな街のど真ん中、クレアモール商店街に山門を構えている都会派のお寺だにゃ。

 

ちなみに、川越のクレアモールといえば、関東屈指の賑わう商店街にゃ。関東屈指ということは、要は全国屈指かにゃ?

 

でもって、そのクレアモールの中間あたりに大きなデパートがあるにゃ。埼玉の老舗、丸広百貨店だにゃ。ここが本社所在地ということになってるから、つまり本店にゃ。

 

店内には昭和の匂いがあちらこちらに漂っていて、いまどき全国にデパートらしいデパートが少い中、ここは貴重な存在にゃ。西雲寺は、この「まるひろ」の真向かいにあるにゃ。

 

面白いにゃろ? 賑やかな商店街に建つデパートの真ん前に、ぽっかり、お寺の門が口を開けてるんよ。雰囲気としては、京都の新京極にある錦天満宮の感じが近いかにゃ?

 

ともあれ、雑踏に流される中、よそ見してたらあっという間に通り過ぎてしまいそうなロケーションの脇で、このお寺は静かに佇んでるにゃ。

 

ちなみに、トラキチは、そんな様子がものすごく好きで、丸広百貨店と西雲寺が向かい合うこの風景って、川越の宝だと思ってる。

 

まるひろのデパ地下なんかも併せて、しょっちゅう散歩に行くよにゃ。

 

(西雲寺の門前から望む丸広百貨店のエントランス)

 

(佛名山 常行院 西雲寺の門前)

 

 

生け垣が囲む参道を進む

 

山門に近づくと、まずは左手に大きな石灯篭が立ってるにゃ。右手には、小さな枯山水が広がってる。その間を抜けて山門をくぐると、そこからは、生け垣に囲まれた参道がわずかに右曲がりしながら続いてるにゃ。

 

ほどなく、左手に石の阿弥陀様が見えて来て、境内がパッと開けるにゃ。

 

阿弥陀様の足元には、金魚の泳ぐ睡蓮鉢が置かれている。

 

一方、右手には、銭のかたちをしたつくばいがあって、その周りを玉砂利とツツジが囲んでるにゃ。

 

周りは静かにゃ。

 

クレアモールからほんの十数歩、歩いたくらいで、辺りはたちまち静かな緑の空間に変わってしまうにゃ。

 

(門前の石灯篭)

 

(生垣の参道)

 

(石造阿弥陀如来・江戸天明期に行われた五萬日供養の記念塔でもある)

 

(銭型のつくばい)

 

(金魚の泳ぐ睡蓮鉢)

 

(西雲寺境内)

 

歴史はおそらく四百年以上

 

西雲寺の前身は、お寺の説明によると、いまの川越市中心部・東側に広がる小仙波地区にあった阿弥陀堂みたいだにゃ。それが、江戸時代の正保年間(1644~48)に、川越城の拡張工事にともなって、いまの場所に移ってきたとされてるにゃ。

 

なので、西雲寺はおそらく400年以上の歴史は持っていそうなんよ。にゃけど、火災で記録が失われたりで、始まりはどうもはっきりしてないにゃ。

 

ちなみに、本堂にはお顔立ち端正な阿弥陀様がご本尊として祀られてるにゃ。伝わるところでは、一応鎌倉時代の作なんだそうにゃ。実際はもっと新しいだろうにゃ。

 

(庫裏の火灯窓)

 

(刈込のある小さな庭・本堂前)

 

絵になる鐘楼

 

本堂に向かって左手前に、鐘楼が建ってるにゃ。

 

平成6年に建てられたもので、新しいんにゃけど、これがなかなか風格十分でカッコいいんよ。二重の垂木がスラっと宙を指していて、バックの本堂との組み合わせがいい感じの絵になってるにゃ。

 

(西雲寺鐘楼)

 

ちなみに、この鐘楼の鐘を大晦日の夜には撞かせてもらえるにゃ。トラキチも毎年お邪魔している。下の写真が、整理券&証明書にゃ。

 

除夜の境内は、足元に灯明も並んでとてもきれいにゃ。

 

(除夜の鐘つき・整理券)

 

(大晦日の西雲寺鐘楼)

 

般若心経のマニ車

 

(般若心経のマニ車)

 

さて、鐘楼を背に、本堂前を横切りながら進んでいくと、前方に車のタイヤみたいな、奇妙なものが置かれてるにゃ。

 

どうやらこれは石で出来ていて、ぐるぐる回転させられる。表面には般若心経が書かれてるにゃ。つまり「マニ車」だにゃ。

 

マニ車―――チベット仏教で有名なやつにゃ。手に持ってくるくる回すのなんかがある。日本だと、かたちが変わって「輪蔵」になるにゃ。

 

マニ車を回すと、書かれてあるお経や真言を唱えたことになって、功徳がいただける。

 

なので、トラキチも来るたびついついこれを回してしまうよにゃ(笑)

 

日限(ひぎり)の三体地蔵尊

 

(日限の三体地蔵尊を祀るお堂)

 

マニ車の先に建っているのが地蔵堂にゃ。地元の参拝者がよく通ってるにゃ。

 

ここには日限(ひぎり)地蔵尊が祀られてるんよ。

 

日限地蔵尊というのは、安土桃山時代に始まったといわれている比較的新しい信仰の形式だにゃ。出どころは東北の会津で、黒川城(のちの会津若松城)のお堀の中から、お地蔵様が3体見つかったことがきっかけにゃ。

 

その後、この3体のお地蔵様への信仰は、

 

「日を決めて祈る」

 =「日(ひを)限(かぎ)る」

 =「ご縁日を設ける」

 

―――と、いったかたちに発展したにゃ。

 

そのうえで、全国各地に波及もしたんにゃけど、お地蔵様が3体であることには、そのうちあまりこだわらなくなっていったみたいだにゃ。

 

にゃけど、その点、西雲寺のお堂にはちゃんと3体お地蔵様が祀られているんよ。宝暦4年(1754)に、このお寺に納められたとされてるにゃ。

 

一方で、日限りの縁日の方は、いまは西雲寺ではやってないので、これから始めるといいよにゃ。

 

なにしろ場所がいいからにゃ。きっとたくさん人が集まるにゃ。

 

ちなみに、この3体の日限のお地蔵様も、さっきの本堂の阿弥陀様も、お参りするときにガラス戸の先を覗くと、ちゃんとお姿を拝めるにゃ。

 

(三体地蔵尊前に立つ六面体地蔵尊石塔(右)。承応四年(1655)の建立とのこと)

 

足もとに佇む石ぼとけ

 

(鐘楼前の石ぼとけたち)

 

ほかにも、トラキチが西雲寺で気に入っている風景として、境内のあちこちに佇む小さな石ぼとけ様たちがあるにゃ。

 

以前は一箇所にかたまっていたと記憶してるんにゃけど、近年、みなさん好きなところに(?)移動されたにゃ。

 

これらは、元々みんな墓石だったはずにゃ。にゃけど、見ててあまり寂しいイメージはしないよにゃ。

 

それよりも、じっと眺めていると、なんとなく気持ちが和むよにゃ。

 

ちなみに、墓の主は、多分、どれもが子どもか女の人にゃ。

 

こういう、墓石として彫られた石仏は、通常、お地蔵様か如意輪観音様のどちらかになっているんにゃけど、お地蔵様だとそれは子どもの墓石で、如意輪観音様だと女性っていう、大方の関係があるからにゃ。

 

トラキチは、保育園の子どもたちと保育士さんたちが散歩しているのを見るとすごく楽しくなるんにゃけど、つまりは、それと似た風景といえば風景なのかもにゃ。

 

(三体地蔵尊脇の石ぼとけたち)

 

―――以上、川越の街の真ん中にある、「門前がデパート」の美しいお寺、西雲寺を紹介したぞ。

 

いいとこにゃ。

 

春は桜もきれいにゃ。