埼玉県川越市にある川越氷川神社の秋の祭礼、「川越まつり」。
今年(2018年)は、10月20日・21日に行われました。
江戸の天下祭り(神田祭・山王祭)の伝統をいまに引き継ぐ、おそらく関東でもっとも華麗で絢爛豪華な歴史あるお祭りを見物してきました。
そうでなくても中心街がいつも賑やかな川越に、数えきれないほどの屋台やイベントスペースが重なり合うように大集合。
そこを美しい山車が練り歩くということで、毎年すばらしい盛り上がりです。
今回の訪問は20日午後から夜にかけて。いわゆる宵山の時間を中心に楽しんできました。
以下33枚の写真とともにご案内です!(上の写真のみ2017年のものです)
- つよい味方「川越まつりナビ」
- 町は夜を前に早くもヒート!
- 清めの雨!神事に染まる川越の町を洗います
- 豪華絢爛なる夜の山車、いよいよ出陣!
- 迫力の曳っかわせが始まります
- 川越まつりの美しき夜
- 賑わいは裏道でも、屋台でも
- 次回訪問される皆さんへのご参考
つよい味方「川越まつりナビ」
今回は訪問前に、つよ~い味方を用意しました。川越まつり公認スマートフォンアプリ「川越まつりナビ」です。山車が町のどこにいるのか、その位置がすぐにわかります。写真は小文字モードの画面。
大文字モードに切り替えると、山車の名前(町名)が表示されます。目の前の山車がどの山車なのかが一目瞭然です。
ナビに導かれ、早速見つけました。西小仙波町の「素戔鳴尊(すさのおのみこと)」です。
川越まつりは川越氷川神社の祭礼。素戔鳴尊(須佐之男命)は同神社の主祭神です。なのでこの山車は、まつりの主役を祀る山車ということになりますね。14時から行われた市役所前での「山車揃い」を終えたあと、昼間の光のもと、町を練り歩いているところです。
町は夜を前に早くもヒート!
しばらく行くと、新富町二丁目の「鏡獅子」が登場。木肌の色合いが味わい深い山車です。夜になるとますます美しさが映えます。
大勢の見物客に囲まれながらひょっとこの舞を披露していたのは、通町の「鍾馗」です。
仙波町の「仙波二郎」も登場。仙波二郎とは、聞きなれない名前ですが川越では英雄のひとりです。現在の川越中心部東寄りの仙波を拠点に、源頼朝の郎党として活躍した人です。
連雀町の「道灌」です。江戸築城で有名なほか、地元では川越城(河越城)の築城主としても知られている武将・太田道灌の山車です。道灌、家康、天海、家光、信綱・・・川越と江戸は、切っても切れない兄弟です。
16時近く。夕暮れが近づくとともに人がどんどん増えていきます。街はさらに賑わっていきます。
清めの雨!神事に染まる川越の町を洗います
すると、そこに突然の雨。夜の出陣に備えてちょうど保管庫入りするところだった新富町一丁目の「家光」の山車はあわてて屋根の下に。川越まつりは雨に遭うことの多い祭りだともいわれています。
一方、容赦ない雨から逃げきれず、すっかり洗われた山車もありましたが、雨雲は範囲が狭く、ほどなく川越上空を立ち去りました。ある意味、清めの雨ともなった雰囲気です。写真は雨に濡れた中原町の「重頼」(河越太郎重頼)の山車です。河越重頼は、鎌倉幕府初期、有力な御家人であったものの、源義経に娘・郷(さと)御前を嫁がせていたことにより身を滅ぼされる悲劇の人です。
雨つぶ光る会所の提灯。
厚い雲が去り、雨宿りの人びとの前には虹が。
屋根瓦をしっとりと濡らした蔵造りの家々に、次々と灯りが点っていきます。
出陣を待つ元町一丁目の「牛若丸」。源義経の山車です。さきほどの河越太郎重頼は義父にあたります。舅、婿、二人揃って川越で山車に祀られています。なお、市内元町にあるお寺・養寿院には、義経・郷姫夫妻および重頼、三人の位牌が祀られています。
こちらも夜の出番を待つ大手町の「鈿女(うずめ)」の山車。鈿女とは、天岩戸(あまのいわと)伝説に登場する天鈿女命(あめのうずめのみこと)。車輪が3つの「三つ車」仕様となっているタイプの山車です。「全体がやや前傾。山車を牛に曳かせていた頃の面影を残す」ともされています(川越まつり公式サイトより)。
夜の山車の動き出しを待つ間も、舞いやお囃子、さらに買い物・グルメが街中にあふれているため、見物客は退屈する暇がありません。山車を出さない町内の囃子連などが、こうした「居囃子」で人びとを楽しませます。
町にいよいよ夜のとばりが下り始めました。
豪華絢爛なる夜の山車、いよいよ出陣!
19時頃からふたたび山車が動き出すのを前に、西武鉄道本川越駅前はご覧のとおりの大賑わいです。ここは川越の中心繁華街の一部であり、なおかつ豪華絢爛な山車の「曳っかわせ」が見られる場所のひとつ。もちろんバスは動いていません。
さあ、時間がきました。
いよいよ動き出す菅原町の「菅原道真」の山車。お囃子を一層盛り上げながら、まずは西武本川越駅前(ショッピングモール・PePe前)の晴れの舞台へ出陣です。この辺りには邪魔な電線もないので、山車のてっぺんには道真公も堂々と立ち上がっています。
迫力の曳っかわせが始まります
一方、そこに南下してきたのは中原町の「重頼」です。早くも曳っかわせが始まります。
響く鉦。太鼓。笛。囃子の競演。すると・・・
そこに脇田町の「家康」が乱入。重頼が一気に前進して身をかわすと、道真はくるりと振り返って家康と対峙します。なお、僕はこれまでなぜか、人形が立ち上がるべき場所でも、この家康の山車に人形が立っているのを見たことがありません。人形はあるはずなんですが、偶然か。なぜなんだろう?
そうこうしているうちに、今度は東側から葵の御紋を引っ提げ、新富町一丁目の「家光」がするすると登場です。家康ともども祖父と孫がそろい踏みです。
あっという間に山車の密集地帯となるPePe前。響き渡るお囃子に、埼玉県警のDJポリスによるアナウンスもミックスされ、周囲は大盛り上がりです。
川越まつりの美しき夜
いっときの大競演が終わり、いざ立ち去らんといった様子の重頼。
家光も喧噪の交差点をあとにします。なお、川越の喜多院には、徳川家光が生まれたとされる部屋が移築され、いまも残されています。
一方、こちらは新たにPePe前へ向かう「素戔鳴尊」です。昼間、電線の多い辺りでは見られなかった人形が街を見下ろしています。
前述のとおり夜の見栄えがいい「鏡獅子」も、素戔鳴尊に続き、PePe前方面へ。
その頃、川越まつりナビの画面には、このように密集する各山車の位置が示されていました。
賑わいは裏道でも、屋台でも
大混雑する通りから離れたところにも、山車はやってきます。地元の皆さんが見守る中、ショッピングストリートであるクレアモールの裏道・八幡通りをゆく通町の「鍾馗」です。さらには・・・
うまそう。
たのしそう。
おお、こんなのも!
夜が深まるとともに、お祭り屋台もますます大賑わいです。
丸広百貨店裏の居囃子では、舞の合間にお菓子の釣り大会を開催。釣るのは舞手。子どもたちは「魚」にされながら、それでも大人気でした。
・・・以上、2018年の「川越まつり」第一日目の宵山からのレポート。
いかがでしたか。
次回訪問される皆さんへのご参考
次回訪問される皆さんへ、以下、ご参考にされてください。
市内中心部の車両通行規制の状況(2018年案内)
上の地図は2018年の案内パンフレットからの抜粋です。
ご覧のとおり、お祭り当日、午前中から夜間まで、川越市街地中心部では広範囲にわたって車両の通行ができなくなります。
逆に言うと、「車が走らないってこんなに快適なのか」と感動するくらい、歩くのが楽しいですよ。見物客で大混雑しない道路を歩くかぎりは、ですが。
混雑エリア
上段の地図で赤く示された辺り、左手(南)西武本川越駅付近から、右手(北)蔵造りの町並みの先・札の辻近辺までが、見物客で大混雑します。
ただし繰り返しますが、車両通行止めの間は車が走らないので、混み合うエリアをはずれると、拍子抜けするくらい歩くのが楽です。
山車一覧
今回の記事に写真を載せた山車のほかにも、山車はさらにいくつもあります。丹念に手入れされたその姿の美しさを確かめるには、やはり、間近でじっくりと見学するのが一番です。
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