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週イチ銭湯通いがメモしておく、昔の銭湯といまの銭湯にたくさんある「違い」のこと

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こんにちは!

 

しばらく前に、この場所で「銭湯」について書かせていただきました。

タイトルは、

「この人出ていってほしい・・・と、思われないように。銭湯で『やってはいけない』こと」

内容は、銭湯の利用マナーですね。

この記事、光栄なことに、銭湯を経営されている方にも読んでいただけているみたいです。

 

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ところで、

この中で、僕はいくつか、「昔の銭湯ではこうだった~でもいまはこうだよ」と、過去と現在の違いについても触れているんですが、

「昭和の風景がそのまま残っている」なんて、よく形容される銭湯にも、かつては普通に存在していたものの、いまは無くなってしまったものが、実際たくさんあるんです。

 

記録の意味も込め、今回はあらためてそのあたりを掘り下げてみましょう。

 

ちなみに、僕がいま記憶の棚から取り出そうとしているのは、昭和40年代から50年代にかけての頃の銭湯の風景です。

 

地域によっては「ちょっと違うかな?」が、あるかも知れませんが、当時の漫画やアニメ、テレビドラマに出てきていた銭湯の様子に照らし合わせても、まずまず、標準的なものになっているかと思います。

 

では、始めましょう!

 

  

1.昔の銭湯には「番台」があった!

 

銭湯ののれんをくぐって、靴を脱ぎます。

下足箱に靴を入れて、入口の戸を引き開けます。(寒い地方では、戸を開けたあとに下足箱、となりますね)

上がり框(かまち)があれば、それを跨ぎます。

すると、そんな客の背中に向け、後ろ斜め上から「いらっしゃい」の声―――。

見上げる位置には「番台」が置かれているのが、昔の銭湯ではまったく普通の光景でした。

番台からは、男女の脱衣所フロアがすべて見渡せます。

客は、番台を囲う板の上にお金をのせて入浴料を支払います。

男はパシッ!と、粋に小銭の音なんか立てたりしてね。

お釣りも大抵、ピシッ!と粋に返されてきたものです。

繰り返しますが、

番台の位置は、女性の脱衣所、男性の脱衣所、両方を一手に見下ろすその真ん中の線の一番玄関寄りにあります。

つまりは・・・

実際に体験したことはなくとも、「そのことは親から聞いて知っています」と、いう人もきっと多いでしょう。

番台からは、お客さん全員の裸が丸見えなのです。

まさに、まるまるの丸見えでした。

銭湯は、いまもそうでしょうが、当時は大抵が家族経営でした。

番台にご主人が座ればご主人の目に、

おじいちゃんが座ればおじいちゃんの目に、

若い息子が座れば彼の目にも・・・

女性は等しく、その肌を晒さなければなりませんでした。

もちろん、男も変わりはありません。

銭湯ご一家に娘さんがいれば、その娘さんに、わが身の成長の様子を長年にわたって見守っていただくことになるというわけです。

これには、いまの女性はほとんど耐えられないのでは?

そんなことない?

ちなみに、番台に座る方の感覚としては、異性の裸など、2~3日で道端の小石くらいにしか感じられなくなるそうですよ。(たまたま恋してしまった相手を除いて)

同じように、客の側にとっても、番台に座る人物はだれであろうと、性別の無いロボットのような存在に見えていたものです。

 

2.脱衣所の床は「畳」であることが多かった

 

僕が幼少期から高校生くらいまで通っていた複数の銭湯では、いずれも脱衣所フロアは畳敷きでした。

いま、毎週通っているところと、たまに行くところは、どこもフローリングですね。ひょっとすると昔からフローリング、つまり板の間が主流の地域もあるのかもしれません。

でも、思い出すと、脱衣所の床が畳敷きなのって、機能上はとてもよかったんです。

なぜかというと、水が適度に染み込みやすいから。

染み込んだ水は内部に拡散され、表面が乾きやすくなるから。

フローリングだと、だれかが床を濡らすと、水滴は長時間、そこで溜まりっぱなしになりますでしょ?

それをうっかり踏むと気持ちが悪い、イヤ~な感覚・・・それをかつての畳は、大きく軽減してくれていたわけです。

 

3.脱いだ服はカゴに入れておくことも多かった

 

いまの銭湯では脱いだ服は鍵付きのロッカーに放り込みます。

ところが昔は、ロッカーがなく、カゴのみが用意された銭湯もたくさんありました。

脱いだ服を入れたカゴを脱衣所の床に置くか、あるいは棚に載せ(いまも温泉旅館ではこの棚式がよくありますね)、バスタオルを掛けておくんですね。

脱いだものが見苦しく晒されないようにするんです。

これもまた、入浴マナーのひとつといえました。

「でも、それじゃ貴重品盗まれちゃうんじゃない?」

ハイ、そうなんです。

盗まれるんです。たまに。

僕の父親など、買い替えたばかりの眼鏡を盗まれました。一度。

眼鏡がとても高かった時代です。盗む人が結構いたんです。自分の眼に度が合うか、一瞬のうちに確かめてから持って行くんでしょう。

ただ、盗難事件はしょっちゅう起こるわけではありません。なぜなら、番台の目がつねに光っていますから。

番台は、まさにそのために、脱衣所を隅から隅まで見渡せる位置に置かれていたわけです。

とはいえ、やはり事件は起こるときには起こるので、脱衣所には、次第にどの銭湯でもロッカーを置くようになっていきました。

ただし、最初の頃は、それらも民芸箪笥みたいなツヤツヤの木で出来た、やたら重厚なものだったりしましたよ。

 

4.脱衣所は映画の宣伝場所だった

 

こればかりはローカルの事象かもしれません。同じ風景を当時、漫画やテレビなどのメディアで見たことがないからです。

なので、僕の見てきたケースに限っていいます。

僕の幼少期・少年期にいた地元では、銭湯の脱衣所の壁の天井近くには、地元映画館で封切られている映画や封切り前の映画のポスターが、ずらりと並んで貼られていることが普通でした。

なので、皆、映画情報は、主に銭湯で仕入れていたのです。

そして、ポスターの中には、かならずあったんですね。

あれです。「ロマンポルノ」です。

日活ロマンポルノのポスターを眺め、宣伝コピーに読み耽ることは、われわれ悪ガキどもにとっての銭湯での大いなる楽しみのひとつでした。

 

5.ビンの飲み物の冷蔵庫と紙のフタ開け

 

銭湯の「懐かしアイテム」として、黄色いケロリンの風呂桶とともに、話題に採り上げられやすいのがこれです。

いまも、ロビーだけじゃなく脱衣所の中にも飲み物を用意している銭湯はありますが、その場合はもちろん自動販売機になっています。

かつての番台式の銭湯の場合、通常、脱衣所には小さなガラス戸付きの冷蔵庫が置かれていました。

中には、いずれもガラス瓶に入った、牛乳、コーヒー牛乳、イチゴ牛乳、フルーツ牛乳、オレンジジュースといったあたりが用意されていました。

牛乳以外は、若干砂糖まみれな、不健康っぽい様相を呈していましたね。

客は、これらをまず手に取って、番台でお金を払います。

慌て者の子どもはここでよく親に叱られます。

「コラ!(冷蔵庫の)戸、開けっ放し!」

そのあと、客は冷蔵庫のところに戻って、そばに下がっている針の付いた「フタ開け」を使い、ビンを塞いでいる紙のフタを開けます。

この紙のフタ、おそらくはもう絶滅したんじゃないでしょうか?

当時のわれわれクソガキは、飲み物本体を飲む前に、かならずこのフタの裏をぺろりと舐めたものです。

なお、僕が特に好きだったのは、イチゴ牛乳とフルーツ牛乳です。銭湯上りは、なぜかものすごく美味く感じられたものです。

 

6.女湯・男湯を行き来できる扉があった!

 

これは、番台式をいまも残している古い銭湯があるとすれば、おそらくそういったところにしか残っていないでしょう。

さらには、たとえその場合でも、浴場内部の扉の方は、撤去もしくは閉鎖されているんじゃないでしょうか。

昔は、脱衣所にも、浴場内部の方にも、女湯・男湯を行き来できる扉が付いていることがよくありました。

と、いうか、僕の知る限りかならずありました。

何に使うの?

子どもを受け渡しするんです。

たとえば、浴場内の方の場合、

「お~い、オレ洗い終わったから、タケシと邦子こっちによこせ~」なんて旦那が天井に向かって声をかけると、

女湯の方から「は~い」なんて声が聞こえて、扉が開き、タケ坊と邦ちゃんが元気に男湯に駆け込んで来るんですね。

お母さんは、そこでやっと緊張から解放され、自分の体を洗い始めることができるわけです。

(小さな子連れの親は、子どもが転倒したり、湯船に溺れたり、ゴミ箱のカミソリを掴んだりのリスクにつねに脅かされていました)

そんなわけで、以前の記事にも書きましたが、昔の銭湯ではそんな家族のやりとりがしょっちゅうありましたから、うるさいといえば本当にうるさかったんです。

湯船で浪花節を唸り出す漫画みたいなオヤジも実際にいましたしね。

近所同士の野球談義、相撲談義も多かったです。

さらには女湯から響いてくる甲高いおしゃべりの声。混んでいる時なんかは、もう大変なものでした。

なお、脱衣所の扉の方は、お客よりも、むしろ銭湯の人がよく使うものでした。カゴの片付けなんかする際、いちいち番台経由での移動はとてもじゃないけどしんどいですから。

 

7.天井からの冷たい水滴

 

これに気づいている人は少ないんじゃないかな?

注意力を自慢させてください。

昔の銭湯って、換気がいまほどよくなかったり、建物自体、現在ほどには断熱性に優れてはいなかったので、天井に上がった湯気が冷えて、水滴になって落ちてきやすかったんです。

なので、ドリフターズの歌にもありますでしょ?

「湯気が天井からポタリと背中に」って。

あのくだり、舞台は銭湯じゃなく温泉ですけどね。

いまはこれって、非常に少なくなりました。

いかがですか?

昔の銭湯をご存知でいまも銭湯通いしている方、銭湯に付きものだった、この「つめてエな」をいつの間にか忘れていませんでしたか?

 

8.ジェットバスはほとんど無かった

 

いまはどこの銭湯も、湯船はジェットバス仕様になっていますね。

僕がこれをはじめて見たのは、たしか昭和50年代に入ってからだったと思うんですが、記憶がはっきりとしません。

旅行先だったか、どこか、自分の住んでいる場所の周りではない、遠くの施設で初入浴し、異様な気分に襲われたことを覚えています。

とりあえず、自宅から徒歩で行けるくらいの銭湯3~4軒には(昔はホントに銭湯って多かったんですよ)、ジェットバスの湯船はひとつもありませんでした。

ちなみに、ジェットバスには、実はマッサージ以外にも効用(?)があるんです。

それは、多分に精神的なもの。

ジェットバスだと、浴槽内がやたらと激しく攪拌されますので、お湯に浮かぶゴミがほとんど目に入らなくなるんですね。

髪の毛とか、陰毛とか。(笑)

なので、それらがよく見えた昔の銭湯では、湯船から腕を伸ばして風呂桶を手に取り、ゆらゆら近づく気持ちのわるい「ちぢれっ毛」をひょいとすくって流すような光景も、たまに見られました。

 

9.昔もあり、いまの銭湯にもあるものは?

 

最後に、昔もあり、いまの銭湯にもよく見られる「銭湯ならでは」のものを挙げておきましょう。

ちなみにケロリンの風呂桶は、懐かしさをねらうために、いまはわざと置く銭湯もあります。

 

体重計

まずは体重計です。過去の重厚なモデルそのものではないにしても、似たようなやつがかなりの確率で生き残っていますね。

ただ、見ていると、いまは乗る人は少ないようです。

ちなみに昔、銭湯に通っていた子どもは、半ば楽しみとしてかならず体重計に乗りました。なので、

「君、いま何キロ?」

と、ひとに聞かれれば、いつも正確に答えられました。

 

電動マッサージ椅子

いまも大抵置かれています。昔ながらに脱衣所か、もしくはロビーに。

ただし、体重計同様、昔よりも利用者が少ないような気がします。

過去には電動マッサージ椅子を自宅に置いている人などおらず、ほぼ、銭湯に行かないと見られなかったものでしたから。

 

コイン式ドライヤー

すごいことに、これ、僕の行く銭湯では現在どこも3分20円なんですが、遠く記憶をたどっても、やはり過去も同じ値段だったような気がするんです。

記憶違いだとしても、10円です。

しかも銭湯によっては、ドライヤー自体は新しくとも、線のつながった料金箱だけは、あの鋳物風のやたらと重々しいやつのままだったりします。なので、半世紀くらい使われて続けているのも中にはあるのかも知れません。

 

あかすりフレッサー

いまも最新版がよくフロントで売られていますね。

だけでなく、忘れられないこの袋デザインのものも、実は復刻版として健在です。

 

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(画像はフレッサー株式会社さん公式サイトより引用)

 

ただしこの絵柄、銭湯マナーには違反してるんですよ。

手ぬぐいを浴槽に入れちゃってますから。

ちゃんと髪をまとめて上げているところは、マナーを守ったかたちです。

 

以上、いかがでしたか?

 

これから20年後、40年後・・・この文章が残るとすれば、そのときはどんな想いで振り返られるものになるんでしょうね。

 

ともあれ、おそまつ! 

 

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(写真は「写真素材なら「写真AC」無料(フリー)ダウンロードOK」さんより)