こんにちは!
今回は不動産説教シリーズです。
よく話題になりやすい「駅徒歩分数」についてお話しします。
賃貸不動産物件広告の駅徒歩分数で「書いてあるのと違うじゃないか!」が起こりまくるワケ。
では、行ってみましょう!
そもそもサバ読みする不動産会社が多い
「駅徒歩分数、書いてあるのと実際と違うじゃないか!」
その一番の原因・・・
それって、まさに「それを言っちゃオシマイよ」なんですが、サバを読む会社はどっさりあります。
これは、実際に現場に携わっている人間、誰もが知っていることです。
ただし、それでも昭和のコワモテな時代と違って、いまはみんな、やり方がカワイイ(?)んです。
「10分って書いてあるけど20分かかる? ああ、ただのミスミス」
・・・で、知らん顔。
なんていう大胆なものは、まず見かけることはありません。
代わりに、見られるほとんどが「1分減らし」です。
何から1分減らすのか?
不動産広告には厳密なルールがあります。
そのルールに従って割り出される徒歩分数から、1分だけ、ちょろりと引かせてもらっちゃうんです。
ただ、このルール、現実の歩行速度に結構即しているため、「1分減らし」をやると、歩くのが速い人を除いて、大抵は実際に要する時間よりも少ない数字が広告に載ることになります。
「不動産屋はいい加減」のイメージを今日もまた生み出していく・・・と、いうことになるわけです。
ちなみに、イイコぶりたいわけではありませんが、僕はこの1分減らしは絶対にやりませんでした。
他社の管理物件を広告させてもらうときも、黙って、修正させてもらっちゃってました。正しく測った数字に。
なので、ネット上、同じ物件の広告が各社ずら~りと並ぶ中、いつもわが社だけが、1分減らしじゃなく、「1分増し」で表示されていましたね。(笑)
もちろん、そのせいでネットの検索条件にかからず、思いきり不利になることもありましたよ。
いいんです。それで。
徒歩分数のルールとは?
ここで急いで、不動産広告における「駅徒歩分数」の表示ルールを添えておきましょう。
よくクイズにもなったりしますよね。
「道路距離80m=1分」なんです。
じゃあ、距離170mだったらどうなるの?
170m = 80m(1分)+80m(1分)+10m ですよね。
この場合、広告には「3分」と表示しないといけません。たった10mであっても「余りは切り上げ」なんです。
厳しいんですよ。この辺の決まりは。(不動産公正取引協議会「不動産の公正競争規約)
以上までをとりあえず踏まえたうえで、先に進みましょう。
駅がデカい・通路が長い
「駅徒歩分数、書いてあるのと実際と違うじゃないか!」
次に多い原因は、駅の構造です。
大きな駅や、地下鉄だと、出入り口から改札までが大変な距離・・・と、いったケースがありますよね?
そこで、広告表示との大きな違いが生じることがあるんです。
なぜならば、
さきほど挙げた徒歩分数の「ルール」なんですが、距離を測る際、駅側は、駅舎出入口を起点としてよいことになっているんです。
改札でもなく、もちろんプラットフォームでもありません。
さらに、起点となる出入り口は、物件に一番近いものでOKなんです。
なので、たとえば地下鉄なんかだと、出入り口から改札までの通路がとても長いケースもよく見られますよね。
JRや私鉄の地上駅も、大きな駅になればなるほど、出入り口から改札までは遠のきます。しかも、改札をくぐってからの距離も長くなりがちです。
そんな状況だと、「駅から3分。近い!」なんていう物件でも、実際にはかなり事情が異なってくることもあるわけです。
駅舎の端っこから測る・・・はダメですが見かけます
ちなみに、駅の「物件に近い出入り口」から距離を測る・・・は、いま述べたとおりOKなんですが、
駅舎や駅構内や駅敷地の「端っこ」を起点とする、は、ダメです。
不当表示です。
それでも、地図を測ってみると、どうやらそれらしい広告はたまに見かけます。
「駅舎の端の角からだと、たしかにこの分数でOKだな」なんて。
ただし、さきほど挙げた「1分減らし」のサバ読みの結果が、たまたまそうなっている場合もきっと多いんでしょう。
「団地」はルールが甘いので注意
賃貸では例が少なくなりますが、駅徒歩分数の表示に関しては、「団地はルールが甘い」ということは知っておいてください。
団地の場合、駅までの距離を測る起点を団地の敷地の端っこにしてもよいのです。
なので、敷地がとても広~い団地で、駅側から見ると、奥にかなり引っ込んだ位置にある建物の中に物件(お部屋)がある場合など・・・
敷地内を歩く距離がどれだけ長くとも、駅徒歩分数には反映されていないことが多いはずです。
いまは「団地リノベーション賃貸」なんて物件に、なかなかステキなのがありますが、一応、この点は要注意ですね。
駅遠な物件ほど、泣きっ面にハチになりやすい
さきほど示したとおり、不動産広告表示上のルールは、
「徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること」(前記規約より抜粋)
と、なっています。
そして実際に歩くと、このルールどおりで、まずまず問題ないことが多いです。
(大人の女性が、急がず、のんびりもせず、普通に歩くと、概ね一致することが多いですね)
ただし・・・
それは、僕の経験上、駅から徒歩5分とか、7~8分くらいまでの物件に限ってです。
10分を超えてくると、だんだん話が違ってきます。
歩いた結果、
「実際は結構かかるなあ」
と、なってきやすいんです。
なので、駅徒歩15分の表示であれば、たとえサバ読みがされていないとしても18分は想定内に。
駅徒歩20分であれば、25分もありうると覚悟。
そのくらいを考えておくのが安全です。
なぜなのか?
答えは単純です。駅と物件との距離が長ければ長いほど、その間、信号や横断歩道に出会う確率は上がるんです。
歩行中、立ち止まらなければならない機会が増えるんですね。
さらに、坂道、歩道橋の上り下り、踏切などに出会う可能性も上がってきます。
ちなみに、経路の途中に線路や大きな幹線道路が横たわっていて、それを突っ切って進めない場合、当然、横断歩道や踏切のあるところまで大きく迂回することになりますよね?
その場合はもちろん、道路距離はその迂回ルート上を測定したものとすべきなんですが・・・
「ありゃりゃ、こりゃ〇〇街道を突っ切っちゃってるな」
と、いった広告も時折見かけます。
そうした強引な「突っ切り」に加えて、「サバ読み」までやられていると・・・
いわゆる駅遠の物件では、駅徒歩分数表示が本当にボロボロ、かなりいい加減なものになっていることがあります。
特に要注意です。
Googleマップはなかなか正しい
以上、いかがですか。
ちなみに、業界周りでよく言われるのが、「Googleマップはなかなか精度高いな」(しかもどんどん精度が上がっていく感じがするな)です。
たとえば、僕の手元にいま、「駅徒歩20分」と書かれた賃貸物件広告があります。
これ、僕が歩くと、22~23分です。
僕の歩行速度は、平均よりも速い方だと思います。
しかも、途中、信号付きの横断歩道が何箇所か存在します。
女性など、これらにひっかかれば、おそらく25分以上はかかってしまいそうです。
そこで、この経路を Googleマップで測ってみると・・・24分と出ました。
まずまず、正確なところを出してきていますよね。
なお、この広告、実はかなりのサバ読みをしているよくない例で、「80m=1分&端数切り上げ」ルールだと、24分と表示しなければなりません。
24分。ルールとGoogleマップがここで一致です。
それにしても、サバ読み4分・・・
困ったものですが、こうした駅遠物件の場合は「1分減らし」で済まない例がよく見られるんです。
駅から遠い、はとにかく不人気なので、必死な気持ちはわかるんですけどね。
おそまつです。
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(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)